「真の食料自給率」は数%に低下?

日本の食料自給率は約38%に過ぎず、その上、化学肥料の原料はほとんど輸入に頼っている。種子も海外依存で、特に野菜の種子の約9割は輸入している。

昨年はついに「コメ不足」が発生したが、その結果、主食のコメについても外国産に依存するようになり、小売店の店先にはアメリカ・カリフォルニア産のカルローズ米が並んでいる。

今後もこのように食料供給を外国に依存する状況が続くなら、日本の食料自給率は一層の低下が懸念される。

筆者が試算した最悪のケースでは、日本の食料自給率が9.2%程度に落ち込む可能性もある。

ただ、この試算にはエネルギーの影響は算入していなかった。

農業は化石燃料と切っても切れない関係にある。農機具を動かすにも、農産物を運搬する上でもガソリンや軽油は欠かせない。そのため、原油価格の高騰は食料品の価格にも跳ね返ってくる。

日本のエネルギー自給率は11%に過ぎない。原油・天然ガスの輸入が止まった場合、その影響を加味すると、日本の食料自給率は9.2%からさらに下がり、数%程度まで落ち込むだろう。

ホルムズ海峡の封鎖によって、この最悪のシナリオが実現してしまうかもしれない。

高市首相の農業政策は間違っている(閣議に臨む高市早苗首相、2026年3月24日)
写真=時事通信フォト
高市首相の農業政策は間違っている(閣議に臨む高市早苗首相、2026年3月24日)

「スパルタ式の農業政策」をやめるべき

食料品価格が上がったら所得減で苦しむ消費者が追い込まれるが、コスト増を価格転嫁できないと農家が追い込まれる。

このジレンマを解決することが日本の農業政策の課題といえるだろう。

そのために有効な手段として農家への所得補償政策がある。

政府が農家の最低限の所得を保証するなら、農家は生産コスト増の影響を無理に価格に上乗せしなくても良くなる。そのため、消費者は農産物を安く買えて、農家も助かるわけだ。

この政策は世界の農政の常識と言ってもいいものだが、なぜか日本はやらないと断言している。

その代わりに政府が主張しているのは、以下のような政策だ。

①農家がもっとコスト高に耐えられる経営になればよい、②コメ生産は抑制、③コメの国家備蓄は減らす、④食料自給率向上には予算をつけず、代わりに輸入を増やす、といった政策を進めているのだ。

激しい競争に耐えられる農家だけ残ればいいという、スパルタ式の農業政策ばかりだ。

ただ、これらを実行すれば、当然ながら食料自給率は下がる。ホルムズ海峡の封鎖によって世界の食料供給の不安定化が叫ばれている中、一番やってはいけない愚かな政策と言える。まるで、「セルフ兵糧攻め」だ。

しかし、このように国内農家を追い詰めていく方向性は、「地球温暖化の主因である既存の農業を代替的食料生産に置き換えていく」ことを大義名分とする「フードテック」の方向性とは見事に整合しているところが恐ろしいのである。

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