むしろ飢餓のリスクが高まる

このように、まともな農業の代わりに、人工肉、培養肉、昆虫食、陸上養殖、植物工場、無人農場を推進していけば、離農が急増し、多くの農漁村地域が原野に戻り、地域社会と文化も消えてしまう。結果的に食料自給率はさらに低下することが懸念される。

しかも遺伝子操作技術の多用や農薬使用量の増加で食の安全のリスクも高まる。

不測の事態には、超過密化した東京などの拠点都市で、餓死者が出て、疫病が蔓延するようないびつな国になることは必定である。

今の政府に農と食と国民の命を守るつもりはあるのだろうか。農家と消費者を救う政策はやらずにフードテックを進めるという方向性は、端的に言うと、今頑張っている農家を廃業に追い込み、日本の地域社会を崩壊させ、国民の飢餓のリスクを高めてでも、一部のオトモダチ企業が儲かるようにしていこうとしていると疑わざるを得ないのである。

「ホルムズ海峡封鎖の影響」で離農が急増しかねない

ホルムズ海峡の封鎖によって、燃料や肥料をはじめ、あらゆる生産資材が高騰している。この影響で、すでに生産コストに苦しんでいた農家が追い込まれつつある。

ただ農家が生産コスト増加を小売価格に転嫁すると、今度は、一般の消費者が苦しむことになってしまう。消費者は消費者で、長年にわたる所得減少に苦しんでいるからだ。

スーパーマーケットでお米を買う買い物客
写真=iStock.com/Hakase_
小売価格に転嫁すると一般の消費者が苦しむ(※写真はイメージです)

とはいえ、農家が生産コスト上昇分を農作物価格に転嫁できなければ、日本の農業は一層苦しくなる。平均年齢が69歳を超えてしまっている日本の農家は、もう一段のコスト高に見舞われれば、これが文字通りの「とどめの一撃」となって、離農が急増し加速度的に消えていくであろう。

そうなれば日本の農業が崩壊するだけでなく、農業によって成り立っている日本の地域コミュニティの崩壊にもつながる。

もちろん国内農業の崩壊により、食料自給率のさらなる低下が起これば、日本国民が飢餓に苦しむリスクも一気に高まるであろう。