「中国人に日本人が買い負け」はおなじみの風景

このように、立地や土地値、将来性といった本質的な価値を正しく見極め、迅速に判断できたとしても、現金で満額を即決できる買い手が現れると、物件を取り切れないケースは確実に存在する。

特に近年は、国内外を問わず資金力のある投資家が増えており、「好立地・高土地値比率・元本毀損しない物件ほど競争が激化する」という構造は、今後さらに顕著になっていくと見ている。中国人と競合し現金買いで日本人が買い負けるというのは今や不動産業界の日常的な風景だ。

彼らの買い物は少し前なら都心のタワマンに集中していたが、今は世田谷や目黒の1棟収益物件や戸建てなどで、3億円、5億円という金額の物件にも触手を伸ばしており、外資の中でもトリクルダウンが起きている。

令和バブルとでも言うべき現在の不動産価格上昇は、かつて日本が経験した日本全国の不動産がすべて価格高騰したという従来型のバブル経済期と異なり、一部のエリアに限定されている。2025年には東京23区の新築マンションの平均分譲価格が1億3000万円を超えたことで話題になったが、これは10年前の2倍近い水準だ。

投資物件に「我が子のような愛着」を持つ日本人の悪い癖

もちろん、平均価格を押し上げているのは都心のタワマンを中心とした高額物件だ。

仮に日本経済が10年間で倍の成長を遂げていればこの値上がりも理解できるが、現実はそうではない。この日本経済の成長と都心不動産価格高騰との乖離の事実こそが、都心のタワーマンション市場が相対的にバブルであることの根拠である。

このため、今からタワマンを買うのはハイリスクであるし、投資目的で購入したのであれば早めに利益確定のために売却をすべきだ。

6000万円で購入した物件が一時的に1億円の評価を得たとしても、実際に1億円で売れなければ意味がない。8000万円で売れるのであれば利確すべきで、幻のような高値に固執して利確の判断を間違えれば、市場が崩れ始めてから慌てて投げ売りすることになりかねない。

日本人のタワーマンション所有者の多くは投資経験が浅く、的確な売却の判断ができないことが多い。まるで我が子のように愛着を持ってしまい、「もう少し持っていればもっと上がる」と信じて売却を先送りしがちだ。

こういう局面ではあまり欲張って天井を待つのではなく、価格が上昇している間に、より価値の維持しやすい土地や資産へと組み替える行動ができる者が勝者となるのだが、こうした判断ができないのだ。