“無料のバー”の役回りをしたアメリカ
2024年の大統領選挙で、その内の少しでもトランプが自分の方に引き寄せられれば、ミシガンを取り戻せる。
しかし、どうやって? トランプ陣営は、まずイスラム教徒の保守性に訴える戦術を採用した。民主党は、妊娠中絶の権利、性的マイノリティーの権利、たとえば同性愛者同士の結婚の権利などの擁護に熱心である。ところがイスラム教徒の多くは、社会的な面では極めて保守的だ。共和党の方が、トランプ候補の方が、イスラム教徒と価値を共有していると訴えた。
そして、より重要なことには、トランプは平和を推進する候補であり、ガザの戦争を止められると主張した。ハリスはガザの破壊に手を貸した候補者だ。ネタニヤフと親しいトランプであれば、イスラエルを止められる。トランプこそが平和の候補だというわけだ。
対するハリスはバイデンの副大統領である。バイデンのガザに関する徹底したイスラエル支援の政策から距離を取るわけにはゆかなかった。また、そのつもりもなかったのだろう。イスラエルには自衛の権利がある。しかしガザの人々にも人道的に配慮すべきだとの立場でバランスを取ろうとした。つまりイスラエルは人道的に戦争をしてパレスチナ人を殺せというわけだ。
たとえて言えば、アルコール依存症の客に「体に毒ですよ!」といいながら、酒を注ぎ続けるバーテンダーのような役回りをバイデンとハリスは演じた。しかも、普通のバーテンダーなら、酒代を取るのだが、このアメリカというバーでは、酒は無料だった。アメリカの納税者のツケで莫大な量の兵器と爆弾がイスラエルに送られたからだ。
米イスラエル支援「年179億ドル」の現実
長年にわたりアメリカは一貫して多額の軍事援助をイスラエルに対して行ってきた。
オバマ大統領の時期、この額が年間38億ドルにまで引き上げられた。1ドル150円換算で計算すると、年間5700億円に達する額である。これは、アメリカが結んだイラン核合意に対するイスラエルの反対を抑制するための、気前の良い援助でもあった。
イスラエルの総人口が約1000万程度なので、アメリカはイスラエルの国民一人当たりに年間5万7000円を与えている計算になる。これが通常の状況だ。
ところが、ガザでの戦争が始まって以来、バイデン政権は、この額をさらに引き上げた。1年間で援助額は179億ドルに達した。約5倍増である。正確には4.7倍ちょっとになる。日本円では2兆6850億円になる。これだけの額の兵器と爆弾がイスラエルに送られ、その爆弾がガザに降り注いだ。これで1年分である。
この中にはイエメンのフーシー派やイランからのミサイル攻撃からイスラエルを守るために増派されたアメリカ軍の費用は含まれていない(*2・*3)。
こうした数値は、「アメリカ人の手はガザの人々の血で汚れている」という多くの識者の発言に説得力を与えている。その代表の一人を紹介すると、リベラルな論調で知られるユダヤ系アメリカ人のピーター・バイナートがいる。この論客は、CNNテレビでの発言などで、アメリカがイスラエルの戦争犯罪に加担しているとの主張を展開している(*4)。
*1 https://www.cnn.co.jp/world/35243398.html アクセス 2026年1月31日
*2 https://www.pbs.org/newshour/world/u-s-military-aid-for-israel-tops-17-9-billion-since-last-oct-7?utm_source=chatgpt.com アクセス 2025年7月27日
*3 https://www.ft.com/content/e5567c49-f9c0-486a-ace4-de3f834e0f9c?utm_source=chatgpt.com アクセス 2025年7月27日
*4 https://x.com/i/status/1948796843661344994 アクセス 2025年7月27日


