ホルムズ海峡封鎖で再びガソリン高騰
イラン戦争の勃発により、さまざまなモノの供給に懸念が生じている。特に、原油や液化天然ガス(LNG)には、重大なリスクが発生している。3月11日、世界の主要な原油価格指標、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は1バレル当たり97ドル台まで上昇した。それは、戦争勃発前に比べ約50%高いレベルだ。
原油やLNGのほかにも、農業で使う肥料やアルミなどの金属の供給にも問題は発生している。それに伴い、世界的に物価上昇=インフレ懸念が高まっている。それは、私たちの日常生活にも重要な影響を与える。
真っ先に思い浮かぶのは、ガソリン価格急騰だ。ガソリン価格の上昇は、輸送費の上昇などさまざまな経路を通って、物価を押し上げることになる。
電気代が高騰し、電力供給も不安定に
それに対して、高市政権は緊急対策を表明し、補助金などを出して全国平均のガソリン小売価格を170円程度に抑制しようとしている。それにより、財政支出は増加する。政策経費の調達のために国債発行は増える。財政状態の悪化、さらには財政の信認低下で悪い金利上昇はこれまで以上に鮮明化しそうだ。景気の下振れリスクも高まる。
また、LNGの価格上昇で、電気代が上がることも想定される。天然ガスはわが国の発電源の33%を占める最重要エネルギーだ。近年、AI関連分野の需要拡大で、発電用LNGの需要は増加している。半導体の製造などにも大量の電力が必要であり、LNG確保の問題は主要国の経済成長に直結する。
ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、電力供給が不安定化することも懸念される。広い分野で物価が上昇する懸念は高まる。それに伴い、供給制約は深刻化し、景気減速と物価上昇が同時進行する“スタグフレーション”のリスクが高まる可能性がある。

