日本の財政への打撃も計り知れない

原油価格などの上昇により、わが国ではガソリン価格が急騰した。3月16日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は、1リットル当たり190円を超え、史上最高値を更新した。

【図表1】レギュラーガソリン価格の推移(2025年3月~2026年3月)
※資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」より編集部作成

また、LNGの備蓄量は3週間ほどだ。備蓄の放出は一時しのぎにしかならない。3月上旬時点の情報をもとに考えると、短期間でホルムズ海峡での安全な船舶航行が可能になるとは考えづらい。

当面、わが国のエネルギー価格はさらに上昇するだろう。航空燃料、肥料、アルミやエチレンなどの基礎資材の不足懸念も高まった。物価上昇の懸念から、イラン戦争の発生以降、わが国の金利は再度上昇し始めた。

イラン戦争の発生後、財政悪化の深刻化を警戒する投資家も増えた。物価対策を最重要視してきた高市首相は、これまで以上に財政出動を進め、モノやサービスの価格上昇を抑えようとするだろう。消費税率の引き下げに関する議論が熱を帯びることも予想される。

減税、給付、補助金などの財源は国債の増発に頼ることになるだろう。物価上昇と財政悪化懸念の上昇で、超長期ゾーンを中心に国債流通利回りに上昇圧力がかかる展開が予想される。

利上げで住宅ローン、自動車ローンの負担大

物価上昇に歯止めを掛けるため、日本銀行が前倒しで利上げを実施せざるを得なくなるかもしれない。金利が上がると、企業の資金調達コストや借入金の返済、家計の住宅、自動車などのローン返済負担も高まる。基本的に、金利上昇は株価の下落要因だ。

コインの上にのせたミニチュアの車と家、その横に「ローン」の文字
画像=iStock.com/Ratana21
※写真はイメージです

個人消費や設備投資の落ち込みを防ぐため、政府が追加の大型経済対策を発動する可能性も高い。モノの供給網を不全化する戦争の中では、ある意味で、政府が財政出動を進めることは必要だ。

重要なポイントは、わが国は景気対策と同時に、構造改革を推進しなければならないことだ。半導体、ロボット、再生可能エネルギーなどの産業を育成し、経済全体で成長期待を高めることの重要性は高まっている。

高市首相は的を絞って規制緩和を徹底し、産業競争力を高めることを考えるべきだ。今後、わが国経済の財政政策への依存は一段と高まるだろう。それにより、財政破綻リスクは上昇し、「悪い金利上昇」が急速に進む恐れは高い。長い目で見ると、そのリスクは私たちの生活に重大な影響を与えることは間違いない。