※本稿は、内山真『やってはいけない睡眠の習慣』(SB新書)の一部を再編集したものです。
寝ようとするほど目が冴える睡眠の不思議
眠れないと、なんとか眠ろうと私たちは努力をするものです。「今眠れなければ、明日の仕事のパフォーマンスが悪くなるんじゃないか」「昼間に気分がすぐれないんじゃないか」「そもそも朝起きられないんじゃないか」。誰でもそういう心配が浮かぶからです。
眠れる条件は3つあります。まず、心身ともにゆったりして安心していられることです。人間に限らず、生き物はすべて安全でない環境では眠ることができません。次に、いつも眠る時刻になっていることです。毎日24時間周期で繰り返す昼夜のサイクルで夜の時間帯になっていないと眠れません。これは脳の奥で時を刻んでいる体内時計の機能と関連します。
最後に、昼間に起きて脳を十分に使っていることです。しっかり覚醒して過ごしている時、とくに運動している時には脳の表面の大脳皮質が活発に働き、脳が疲れてきます。この疲労を回復させるために睡眠がもたらされるのです。この3つの条件が整っている時に、スムーズに寝つけ、安らかに「すやすや」と一定時間眠ることができます。
なかなか寝つけない時は、この眠れる3つの条件が整っていないことが多いのです。
不安が眠りを妨げる負のスパイラル
いちばん多く見られるのは、緊張して、ゆったり安心できない状態にあって眠れない場合です。たとえば、その日の昼間に緊張する出来事があった。あるいは、職場で誰かに嫌なことをいわれ、そのことがとても気になっている。翌日に仕事で大事なプレゼンテーションを控えている、試験がある等を考え、心配になっている。
こうなると、夜になっても緊張が続き、ゆったり安心していられません。目が冴えてしまいます。このように眠るのが困難な状態から逃れるために、「なんとか眠ろう」とつい眠る努力をしてしまいます。部屋を真っ暗にしてかたく目を閉じ、じっとしていようとする。
すると、かえって緊張が高まり、寝返りばかり打ってしまう。そして、ますます睡眠に移行しにくくなるという、負のスパイラルに陥ってしまいます。これは私たちの生存に関わる本能的な機能と関係しています。生き物にとって安心できない状況で眠ってしまったら、とても危険です。
暗い寝室で眠ろうと一人で思い詰めていると、暗所での本能的な警戒心も加わり、ますます緊張してしまうことになります。こういった場合どうするべきか。まずは緊張を解いて、安心できる状態になることです。そうすれば眠れる条件の2番目である、夜になると眠たくなる体内時計の仕組み、3番目の脳が疲れると眠くなる仕組みが働き、眠ることができるようになります。そのタイミングを、緊張を遠ざけ、リラックスして待つのです。

