睡眠の質を高めるために、どのような寝具を選べばいいのか。睡眠障害治療の専門家で東京足立病院名誉院長の内山真さんは「安価な寝具でも性能は十分であり、価格差ほどの効果差はない。重要なのは値段ではなく、自分に合った睡眠環境だ」という――。(第5回)

※本稿は、内山真『やってはいけない睡眠の習慣』(SB新書)の一部を再編集したものです。

モダンラグジュアリーな寝室
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寝具の価格と眠りの質は比例しない

昨今は、睡眠が重要だという認識が広まってきたこともあり、寝具について皆関心を持っていると思います。そのこと自体、非常に良いことだと思います。一方、高級寝具についてはどうか。何万円、何十万円もする寝具は値段に比較して眠りを改善する作用があるのでしょうか。

日本のスーパーやチェーン店でお手頃な値段で売られている寝具は、よくできています。これらが価格が一桁違う高級寝具の10分の1ほどの効能しかないわけではない。現実として、この差はわずかなものに過ぎないでしょう。

布団の硬さや重さや肌触りは、人によって好みが分かれます。そもそも、身長、体重、骨格や筋肉のつき方、背骨に問題があるかないか等、人体は多種多様でひとつとして同じものはありません。誰にも合った寝具の条件を挙げるのは難しいと思います。

その人に合った寝具を見つけることが重要です。首の骨に問題を抱えている人は、ある程度の高さの枕が睡眠を改善することがありますが、枕に高さがあると、頭が持ち上がることで顎が引かれて、喉が圧迫されやすくなります。

寝具選びで最も重視すべきポイント

こうなると、睡眠時無呼吸症候群のリスクが増すのです。睡眠において重点をどこに置くかは自分で決めないといけません。寝具について「オーダーメイドだったらいい」とか「価格が高かったらそれだけ改善される」と考えてしまうと、“寝具沼”にハマってしまいます。

高級な寝具が売れているようです。自分に合った寝具を見つけることが難しいと思うと、「高ければ安心だ」という気持ちになりやすい。価格の高さが心地よさの一つにもなる。誰も買えないような値段ではなく、少し無理すれば買えるくらいの値段だと、こういった気持ちになりやすい。

実際に買うと、今度は「買ったことを後悔したくない」という気持ちが働き、自然とその寝具のいいところを探すようになります。もしお手頃な値段の寝具でしたら、「これは自分に合わないな」という判断が簡単にできます。つまり、値段の高い寝具は「選び取る」ことはできても「捨てる」ことができないのです。万人に合う寝具は何かと断定するのは、難しいと思います。寝具を選ぶ際のアドバイスとしては、吸湿性がよいものにすることです。汗や湿気をよく吸うものにする。これはいくらよくても困ることはありません。もっとも意識したほうがいいのは、寝る環境の温度です。そこで、エアコンで快適な温度を保つ手が考えられます。