「長寿を買う」という究極の投資

ウェルネスレジデンスの進化は止まらない。

スペインのイビサ島にある「Six Senses Ibiza(シックスセンシズ・イビサ)」やドバイで展開する「Six Senses Residences(シックスセンシズ・レジデンス)」が目指すのは、健康の先にある「長寿(Longevity)」だ。

ここでは、世界的な長寿研究の権威と連携し、居住者に「老化を遅らせる」ためのプログラムを提供している。DNA検査やエピジェネティクス(後成的遺伝学)解析に基づき、一人ひとりに最適な食事、運動、睡眠、そしてサプリメントが処方される。

ラウンジに行けば、クライオセラピー(極低温療法)で細胞を活性化させ、高濃度ビタミン点滴で免疫力を高めることができる。さらに、睡眠環境は電磁波を遮断し、サーカディアンリズム(体内時計)を整える照明システムによって管理されている。

「ただ長生きする」のではない。「健康寿命を延ばし、最期の瞬間まで若々しく生きる」。そのための科学的アプローチが、住まいの標準スペックとして組み込まれているのだ。

また、スペインのアリカンテにある世界最高峰のメディカルスパ「SHA Wellness Clinic(シャ・ウェルネス・クリニック)」も、レジデンス部門を拡大している。ここでは、西洋医学と東洋医学を融合させたデトックスプログラムを、自宅にいながらにして受けることができる。マクロビオティックに基づいた食事指導から、鍼灸、オゾン療法まで、あらゆるメソッドが居住者の健康維持のために捧げられる。

これらはもはや「不動産投資」ではない。「自分自身の寿命への投資」だ。

数億円、数十億円という価格も、それによって得られる「健康な時間」と比べれば安いものだと、彼らは本気で考えている。

この潮流は日本にも…

こうした潮流は、ついに日本にも上陸している。

その象徴が、東京・港区に開業した「麻布台ヒルズ」だ。

「麻布台ヒルズレジデンス」の広場イメージ
「麻布台ヒルズレジデンス」の広場イメージ。低層部の屋上を含む敷地全体を緑化、約2万4000m2の広大な緑地を確保している。(森ビル公式リリースより)

ここには、アマンが手掛ける世界最高峰のレジデンスがあるだけでなく、核となる施設として「慶應義塾大学予防医療センター」が入居している。従来の「病気になってから行く病院」ではない。最新の検査機器を駆使し、病気の予兆を未然に防ぐ「予防医療」と「拡張長寿」に特化した拠点だ。

「麻布台ヒルズレジデンス」、住宅イメージ
「麻布台ヒルズレジデンス」、住宅イメージ(森ビル公式リリースより)
「麻布台ヒルズ」に入る「慶應義塾大学予防医療センター」イメージ
麻布台ヒルズ内、「慶應義塾大学予防医療センター」のイメージ(森ビル公式リリースより)

麻布台ヒルズの居住者やワーカー、来街者は、慶應義塾大学予防医療センターと連携したパーソナライズされた健康管理サービスを受けることができる。スパやフィットネスジム、フードマーケットともデータが連携され、運動から食事、医療までがシームレスに統合された生活が実現する。

日本の富裕層もまた、「ただ都心に住む」ことの価値を問い直し始めている。

「いざという時に最高レベルの医療にアクセスでき、日常的に身体を最適化できる環境にあるか」。それが、これからの日本の高級不動産市場における、新たなスタンダードとなっていくことは間違いない。