そもそもアメリカ憲法は、宣戦布告の権限は大統領になく、議会が握ると定めている。だが今回も、議会の承認はなかった。アメリカの米進歩派政治誌のアメリカン・プロスペクトによると、約4分の3の国民が議会承認なき武力行使に反対している。民主党員の94%が反対し、共和党員でも50%が反対に回った。
国民の大多数が望まず、議会も承認しないまま始まった戦争。23年前と同じ過ちを防ぐはずだった民主主義の歯止めは、再び機能しなかった。
「壊したら、あなたのものだ」
2002年、コリン・パウエル国務長官(当時)はイラク侵攻を前に、ブッシュ氏の側近たちにこう忠告した、「壊したら、あなたのものだ」(If you break it, you own it)。武力行使でアメリカが外国の政治制度を「壊した」ならば、その後始末は、壊した者が引き受けるしかないとの説諭だ。
あれから23年。忠告は無視され、アメリカはまた中東で大きなものを壊した。アラブ・センター・ワシントンDCの編集者エイミー・ホーソーン氏は今回の軍事行動を「無謀かつ不人気な戦争」と呼び、「予測不能で危険な余震を伴う政治的大地震」を引き起こしたと指摘する。
トランプ氏がいかに一方的に勝利を宣言しようとも、アメリカが主導する中東への軍事介入が意図せぬ重大な結果をもたらすのは、「例外ではなく常態的になっている」とホーソーン氏は語る。
米シンクタンクの外交問題評議会も、コリン・パウエル元国務長官が唱えた「壊したらその責任を負う」の原則は、現在のイランにそのまま当てはまると論じている。トランプ政権が後始末への関与を拒もうとも、歴史的評価は否応なく、アメリカの国益と中東全体への長期的影響を鑑みた上で決まる。
同盟国の支持固めや合意など、必要な包括的戦略を置き去りにしてイラン攻撃は行われた。アメリカが壊したイラクを横目にイランが育ち、そのイランをまた力ずくで壊そうとしている。連鎖の果てに、アメリカや世界は何を手にしようとしているのか、その答えはまだ見えない。

