15万5000人のアメリカ兵が駐留する国の首都で、副大統領が身を隠して移動せざるを得ない。イラン指導者との待遇の差も含め、大きな皮肉として語られている。開戦前、アメリカ軍はイラク国民から「菓子と花」で迎えられる、つまり解放者として歓迎されるだろうとチェイニー氏自身が予言していた。現実は雲泥の差だ。

米シンクタンクのブルッキングス研究所はこの落差について、フセイン独裁政権を武力で打倒することを選んだブッシュ政権の、負の「遺産」を象徴するものだと論じている。

2002年1月24日、大統領執務室にいるブッシュ大統領とチェイニー副大統領
2002年1月24日、大統領執務室にいるブッシュ大統領とチェイニー副大統領〔写真=コレクション:写真室副大統領記録(ジョージ・W・ブッシュ政権)/Files from Flickr's 'The Commons'/Wikimedia Commons

「イランがこの紛争の唯一の勝者」

この帰結を裏づける研究がある。米軍高級将校の教育機関、米陸軍戦争大学が2019年に公刊した全2巻に及ぶ包括的研究だ。