ヒーロー気取りの背景に劣等感がある

おかしいことがあっても見て見ぬフリをする保身的な人が多いなかで、言うべきことをきちんと主張する自分は正義の味方であり「正義のヒーロー」なのだといった意識さえ抱いている。

榎本博明『【新装版】かかわると面倒くさい人』(日経プレミアシリーズ)
榎本博明『【新装版】かかわると面倒くさい人』(日経プレミアシリーズ)

そこに潜んでいるのがメサイア・コンプレックスだ。これは、「自分は救世主である」といった思いを無意識に抱えているかのように、必要以上に他人や社会あるいは組織を救いたがる心理を指す。救うと言えば響きはいいが、実際にはありがた迷惑な存在になりがちだ。

本人は正義感で動いているつもりなのだが、心の深層には劣等感と歪んだ優越感が複雑に絡み合い、うごめいている。だから極端になってしまうのだ。

自分が仕事で有能さを発揮していなかったり、周囲に溶け込めずに不適応感をもっていたりして、劣等感を無意識のうちに抱えており、それを振り払おうとするかのように、正義のヒーロー気取りで、標的とする人物や組織、制度を叩こうとするのである。落ち度のある標的を叩くことで、自分の価値を高めることができる。

無意識の衝動に突き動かされており、冷静な心の動きでないため、建設的な議論にならないのだ。ゆえに、いくら諭しても人の意見に耳を傾けようとせずに、自分勝手な理屈を振りかざすだけ。ほんとうに厄介な存在なのである。

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