投資家が「優待は続く」と考えた理由

実際、千趣会の業績不振は相当深刻な状態で、昨年にはコールセンター閉鎖による大規模なリストラ、そして本社売却を敢行するまでの状況でした。

そんな状況の中、(大盤振る舞いの)株主優待を続ける余裕などないことは誰の目にも明らかで、もう何年も前から、「優待などやっている場合か?」「優待廃止は秒読み段階」などと言われ続けていました。

しかし、そのように優待廃止目前と囁かれ続けながらも、何年もの間、しぶとく優待は続くのでした。

そんなしぶとく続く優待に、「これは会社の意地だな」「会社が潰れるまで、優待は続くな」といった声も出始め、また、「いまの株価は優待で支えられているようなもの、もし優待を廃止すればとんでもない状態になるので、優待廃止は絶対にない」といった優待継続論も、それなりの説得力があったのです。

さらには、「業績は回復傾向にある、優待継続どころか、優待拡充もあるのでは?」といった楽観論もチラホラとあったのでした。

が、結局、そのような期待は空しく打ち砕かれ、冒頭の通り、「優待廃止」が発表されたのでした。

会社としては、4期連続の営業損失の中、早期の業績回復と持続的な成長に向けた事業基盤の再構築が最優先課題としての決断だったようでした。

優待廃止・改悪リスクをどう考える?

株主優待とは、企業が株主に対して自社商品や買物券、お食事券などを贈呈する日本独自の制度で、上場企業の4割程度が実施しています。投資家としては、株主としての特別感を味わえ、また、昨今の物価高の中、家計の助けになることもあり、そんな株主優待目当てに投資する人も少なくありません。

しかし、優待銘柄への投資には、「優待の廃止・改悪」という、優待投資ならではのリスクがあります。優待の廃止・改悪となれば、多くのケースで株価は暴落し、大きな損失につながります。

弱気市場
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なので、優待の廃止・改悪は徹底して避けなければいけないのですが、優待の廃止・改悪は企業の一存で決めることができるので、完全に避けることはほぼ不可能。

とはいえ、優待廃止・改悪されそうな銘柄は、ある程度は予想できます。たとえば、優待利回りが異常に高い銘柄。

株主優待は、企業にとって、株主獲得や自社商品・サービスの宣伝効果につながるというメリットがありますが、同時に、大きな負担ともなります。ですので、あまりにも高い利回り(一般には5~10%以上が危険水準とされる)は、改悪・廃止のリスクが大きいと言えるのです。

そして、業績不振の銘柄。業績が悪ければ(とくに、業績不振が長期化していれば)、株主優待を継続する余裕もなくなり、当然、改悪・廃止のリスクは大きくなります。

すなわち、「異常に高い優待利回り(最大で約18%)」「長引く深刻な業績不振」であった千趣会は、相当ヤバい状況だったわけで、普通に考えれば、とても投資できるものではありませんでした。

しかし私は、そんな千趣会にも臆することなく、投資していたわけです。