イラン攻撃で使われたシステム
今回イラン、ベネズエラで米軍が使ったのはメイヴン(Maven)という、これら4つの基盤技術を軍事用に特化させてパッケージ化した応用システムである。
メイヴンは軍や諜報機関などさまざまな機関が上げてくる何兆もの断片的なデータ(衛星情報、ドローン映像、電子情報、傍受通信、人的情報など)を「統合」し、1日に約1000箇所もの最適な標的を捕捉、その攻撃方法・順序を決める。以前なら処理に少なくとも数週間ないし1カ月を要した分量である。
そうして作った、例えば敵の軍事施設や人員の動きのようなデータを、直観的に理解できるよう視覚化し、軍の指揮官に提供する。言わば戦争用Googleマップとリアルタイム情報ダッシュボードを組み合わせたようなものだという。
同社を育んだ米CIAのファンド
パランティアの出自を語る上で欠かせないのが、米中央情報局(CIA)が司る戦略的ベンチャーキャピタル「インキュテル(In-Q-Tel)」だ。1999年に設立されたこの組織は、政府が直接開発するには時間がかかり過ぎる先端ITを、民間の投資スキームを使って迅速に吸い上げるための装置である。
インキュテルはパランティアの創業初期から出資を行い、この支援がその後の同社の成長を後押しした。また、創業当初から「米国の国益を最大化する」ことを理念とし、NATO諸国など、民主主義という価値観を共有する同盟国・友好国のみとビジネスを行う方針を明言している。
ピーター・ティール氏や同じ共同創業者のアレックス・カープCEOは、アップルやマイクロソフトのような「技術で世界を一つに」というリベラル的な理想をはなから受け付けない。彼らが冷戦後の地政学的な冷徹な「戦い」のただ中で産み落とされたからだ。
