人工知能は「中立的なテクノロジー」ではない
こうした出来事をつなぎ合わせて見えてくるのは、人工知能がもはや中立的なテクノロジーではないという現実だ。AIは国家の神経系であり、軍事力の計算機であり、社会統治の基盤になりつつある。だからこそ国家はそれを囲い込み、企業はその圧力のなかで自らの倫理や戦略を選ばざるを得なくなっている。
しかも、この問題はさらに深刻な問いを突きつけている。人工知能が戦争の判断に関与する時代に入れば、誤認識や誤作動が国家間の衝突を引き起こす可能性も現実のリスクになる。AIが自律的に戦争を始める、あるいは核兵器の判断に関与する未来を、完全に否定できる専門家はもはやほとんどいない。
つまり、いま世界で起きているのは「AI企業の対立」ではない。AI文明を誰が、どの原理で統治するのかという問題が、安全保障の最前線で顕在化したのである。
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