自分自身の美の価値観で勝負する

実際の彼女の素顔はまるで可憐な少女のよう。その佇まいは野に咲く花のように楚々としていました。印象的なのは、恵まれた美しい肌をもっていながら、日々のケアに丹念に取り組む姿。穏やかで繊細で、努力家でもある、まさに日本人らしい女性でした。

それがひとたび舞台に躍り出ると、誰にも負けない強烈なオーラを放つのです。比較すれば平面的かもしれないその顔を、誰のものでもない自分の個性としてじっくり見つめ直し、仕立て上げる。そのステップを経たからこそ、ランウェイを歩く姿には自信がみなぎっていて、人はこんなにも輝くものかと驚いたのです。

そこで私が得たものは、美しさを一方向から見るのではなく、まったく別の視点から光を当て、新しい感性や価値観を創造することの素晴らしさでした。西洋とは違う、アジアにはアジアの、そのなかでも日本には日本の美が存在する。それを理解し、打ち出していくことの喜びを味わい尽くしたのです。そこで得たのが「自分自身の美の価値観で勝負する」という矜持です。「自立」という言葉に置き換えられるかもしれませんし、“私基準の美”とも通じるもの。