ジモティーは“必要とされる”第二の職場
筆者はこの数年、リタイア後の男性を取材しているが、実は企業社会から退いたシニア男性を社会の中で見つけることは、案外難しい。かつてスーツ姿で世を闊歩していた男性たちは、引退すると分布域が極めて限定的な「希少種」になっていく。
地域社会のつながりが失われた今、シニア男性はお金を稼ぐか、お金を払うかしなければ社会との接続が難しくなっている。こういう人を無料・低額でつなぐのは、フリマアプリなのだ。
シニアが「デジタル弱者」だった時代も終わりつつある。シニア世代のSNS利用は、急激に高まっており、令和6年度(2024年)の60〜69歳のシニア層のSNS利用率は77.5%、70〜79歳は66.0%だ(*2)。
そして、男性は引退後も誰かに“必要とされる存在”であり続けたいと考えているようだ。
提供する側から提供される側に回った時、疎外感を感じるのかもしれない。誰かを支える側でいることによって、自分が保たれるのだろう。だからTさんは、見知らぬ女性も赤いスポーツカーで送迎してあげるのだ。
シニアと不用品がアプリを通じて人と出会い、役割を与えられて生まれ変わる。大量生産・大量消費が生んだ不用品が、寂しい人をつないでいる。報酬はお金ではなく、「ありがとう」でもいい。
男性にとって社会との関わり方が「ビジネス活動」であり続けるのは、希望でもあり呪縛でもあるのかもしれないが。
*2 総務省・通信動向調査


