ジモティーで1300回取引する熟練のワザ

この日も、名前も知らない女性を駅まで送り届け、「本当にありがとうございました。助かりました!」と笑顔で言われると、Tさんの心は達成感で満たされた。

実はジモティーでは、退職後の「時間を持て余した」シニア男性によく出会う。ジモティーが公開しているデータによれば、ジモティーの利用者は50歳以上の中高年層が半分近くを占めているという。

Tさんはジモティーのリリース直後から登録し、1300回以上利用するヘビーユーザーの一人だ。

Tさんは家電、映画や英会話のビデオテープ、ゴルフクラブなどのスポーツ用品、株主優待冊子などを出品している。航空会社の株主優待で手にした「搭乗チケット半額券」は4枚一組で3000円。ゴルフのアイアンセットは4000~7000円くらいで出品する。

ゴルフのアイアンセット
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです

Tさんがジモティーに掲載している文面はこんな感じだ。

「特価で譲ります 東武鉄道・株主優待冊子 1500円。スカイツリー優待券5枚、東武動物公園入場券3枚、東武ストア買い物券10枚(以下、続く)。条件:○○のコンビニまで取りに来ていただける方、ノーリターンノークレームの方」

年金生活者にとっての物販活動

Tさんは言う。

「株主優待冊子は金券ショップに持っていくより、自分で売ったほうが高く売れる。東武鉄道の金券より、西武鉄道のほうが高く売れるね」

交渉も売買もすべて自己責任。金券以外のスポーツ用品などは、Tさん自身がジモティーで「仕入れ」たものだ。無料で出品されたものを引き取り、自分で使って、飽きたら売る。だから「利益」は月に3万円もあればいいほうだという。ただし、購入したものを転売することが頻回する場合は、警察に「古物商許可」を届け出る必要がある。無料で譲り受けたものや自分で使用したものを売る場合は、届け出は不要とされている(*1)

「最近は断捨離も兼ねているよ。不用品が山ほどあるから、無料で譲ることも多い」

Tさんの年金は月23万円。妻と二人で持ち家に住んでいる。生活に困ってはいないが、年金生活者にとって物販は限られた経済活動の一つである。

*1 古物商許可申請 警視庁