神経科学的に見れば教育制度は女子に有利
全米アカデミーズ(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)が2019年に発表した、思春期についての新しい科学的研究の重要性を論じた報告書は、「脳の発達と思春期の関係における性差は、思春期における顕著なジェンダー格差を理解することに直接的に関連する」と示唆した。
しかし、とりわけ思春期のあいだの脳の発達の性差に着目をする新しい科学は、これまでのところ教育政策にまったく影響を与えていない。たとえば、全米アカデミーズによる報告書の教育政策の章では、同報告書が確認した脳の発達に性差があるという科学的知見に関して、いかなる具体的な提言も記載していない。
神経学的な性差の重要性をめぐる議論は、かなり熾烈なものになることもあるが、教育にかんするかぎり、間違った枠組みで議論が行われている。思春期以降も続く男女の心理状態の違いには、生物学的な基礎をもつものも間違いなくある。
なんといっても男女の脳についてもっとも大きな違いは、その発達の仕方にあるのではなく、発達するタイミングにあるのだ。大切なことは、実際の年齢と発達上の年齢の関係が、女の子と男の子とではとても異なることだ。神経科学的な見地からいえば、教育制度は、女の子に有利になるようにつくられていることになる。
女性の社会進出が進んで明らかになってきた
いうまでもないが、これは誰かが意図したことではない。いまの教育制度をつくったのは、なにしろ主に男性だったのだから。男の子を不利な立場に追い込んでやろうという、100年来のフェミニストの陰謀などない。
教育制度における構造化されたジェンダーバイアスは、より高い教育やキャリアを追い求めることを女の子に思いとどまらせ、代わりに家庭内の役割を担うように誘導していたときには、気づくことが難しかった。
女性運動が、高い教育やキャリアの機会を女子生徒や女性のために切り開いてきてくれた結果として、年を追うごとに、女性がもつ本来の脳の発達のタイミングによる優位性がより明らかになってきているのだ。


