男子生徒の卒業率の低さは無視されている

しかし奇妙なことに、各州は、性別ごとの高校卒業率の結果を報告する必要はない。上記に引用した性別ごとの数字を得るためには、各州のデータを徹底的に調べることが求められる。

精力的に活動をしている非営利団体であるグラッド・ネイションは、アメリカ全土の高校卒業率を90%まで上げることを目指している(2017年は85%)。これは素晴らしい目標といえる。

同団体は、その目標達成のために「有色人種の生徒、障害を抱える生徒、低所得世帯の生徒」の卒業率の上昇が求められると指摘している。間違いなくその通りだ。

しかし、同団体は大きなカテゴリーを一つ忘れている――それは男子生徒だ。なにしろ、目標の90%まで女子生徒はわずか2%ポイントなのに対し、男子生徒は目標より8%ポイントも下にいるのだから。

中等教育の年齢では脳の成長に性差がある

なにが起きているのだろうか。多くのもっともらしい説明が可能だ。研究者のなかには、男子生徒の学校での相対的な学業不振を、彼らが高等教育(大学等の教育)に低い期待しか寄せていない〔自分は大学に行かない、行けないと思っている〕ことと関連づける人もいる。これこそ、まさに悪循環と呼べるものだ。

スケートボーダーのグループ
写真=iStock.com/Montes-Bradley
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また、高校までの教員の性別比率が女性に激しく偏っている─―現在4人のうち3人が女性教員で、いまも増加しつつある――ことが、男子生徒を不利な状況に置くのではないかと心配する研究者もいる。たしかに、そうしたこともあるだろう。

しかし、あまりにも自明ともいえる、より重要で、より単純な説明があると私は考えている。とりわけ中等教育のもっとも重要な年齢のあいだ、男子生徒の脳の成長は女子生徒の脳の成長よりも緩慢であるということだ。

現在の研究では、ほぼ4人に1人(23%)もの男子生徒がなんらかの「発達障害」であるとみなされている。しかしそうであるならば、きちんと機能していないのは、男子生徒個人というよりは教育制度の方ではないかと疑問に思うのは当然の発想だろう。

ローレンス・スタインバーグは『15歳はなぜ言うことを聞かないのか?――最新脳科学でわかった第2の成長期』のなかで次のように書いている。

「高校生くらいの若者は、落ち着いていて、休養も十分で、しかも正しい選択をすれば報酬がもらえるとわかっていれば、よりよい判断をする」。

親であれ誰であれ、ほとんどの人は自分の10代のころを振り返れば、次のように返答するだろう――そんなことは当たり前でしょう! 私が知らないことを教えてくださいよ、と。