カカオは糖の消化・吸収を緩やかに
その他、血糖値が上がりにくいおやつの例としてよく挙げられるのが、高カカオチョコレート(ダークチョコレート、カカオ70%以上)です。ダークチョコレートに豊富なポリフェノールであるカカオフラバノールは、それ自身が炎症を抑える作用を持つと同時に、小腸における糖の消化・吸収を部分的に阻害します。α-グルコシダーゼやα-アミラーゼといった酵素の働きを抑えることで、糖質がブドウ糖に分解されにくくなり、食後血糖の上昇を緩やかにすると報告されています(PLos One. 2018 29373573)。
また、カカオフラバノールは大腸まで届き、腸内細菌によって代謝されます。その際に短鎖脂肪酸が増加し、これにより肝臓や筋肉の糖代謝が改善されます。同時に善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)も増え、腸内環境を介した耐糖能改善効果も期待できます(Nutrients. 2020 32605083)。
25gの特別に調整された高ポリフェノールチョコレート(成分的には100%カカオに近い)と50gのブドウ糖を服用した健康成人の血糖反応を見てみると、50gブドウ糖単独と比較してピークの血糖値に大きな変化はありませんでしたが、120分間全体のAUC(曲線下面積)は低く、ポリフェノールが糖質をより早く処理する能力を持つことが示されました(Nutr Metab Insights. 2022 35153489)。もちろん、市販のダークチョコレートよりも、ステビアやラカンカなど砂糖を使わずに手作りのダークチョコレートにした方が、血糖コントロール効果はより高くなります(Nutr Metab Insights. 2022 35153489)。
市販の商品では、ケトバー(糖質をほぼ含まず、ナッツ・ココナッツオイル・プロテインなどを主体に作られている低糖質バー)や亜麻仁チップス(食物繊維とオメガ3脂肪酸が豊富な亜麻仁で作ったスナック)なども血糖コントロールを意識したスナックとして注目されていますが、添加されている成分をよく確認して選ぶことが重要です。
以上のように、おやつの内容や食べ方を工夫することで、甘いおやつでさえも完全に我慢しなくても、血糖値の急上昇を緩やかに抑えることが可能です。
食べ方を工夫して将来の健康を守る
このように、新書『糖質リスク』の中で紹介している様々な実践方法を日常生活に適宜取り入れながら、極端な血糖スパイクを引き起こさないように自らの血管を守ってください。ほんのわずかな意識と行動の変化であっても、これまで知らず知らずのうちに生じていた血糖スパイクの高さが低くなったり、その頻度が減ったりすることは、5年、10年といった長期的な視点で見れば、血管の健康度において計り知れない大きな違いとなって現れることでしょう。
(初公開日:2026年1月12日)



