猫ブームで起きる経済社会の変化

猫ブームは、社会や経済にさまざまな影響を与える。まず、愛玩用のペットフードなどのビジネスチャンスがある。ペットケア事業を収益源に育てようとする日本企業は増えた。

主な業界として、紙おむつなどの消費財、食品(菓子や缶詰など)、医薬・医療品分野でペット関連事業に力を入れる企業は多い。中国、欧州、米国市場に進出した企業もある。

国内の金融業界でも、大手の生命保険会社がペット保険の専業会社などと提携し、ペット保険事業に参入した。AI(人工知能)を搭載した見守りカメラ、自動えさやり器、健康管理など“ペットテック”の成長期待も高まっている。

ウェブカメラ付きの飼い猫の自動ドライフードフィーダー
写真=iStock.com/Jakub Zerdzicki
※写真はイメージです

猫ブームは、サービス分野にも影響を与える。台湾で発祥したといわれている、猫カフェなどがそれに当たる。ある市場推計によると、世界的に猫カフェ業界は年5~6%程度の成長ペースで拡大している。体験イベントの開催、SNSなどコンテンツ分野、アパレルやグッズ市場への波及効果も増えるだろう。

「宿の看板猫ランキング」が発表されるなど、宿泊施設への需要喚起にも猫は活躍している。猫と泊まれるツアーを企画し、観光需要を創出しようとする事業者も増えた。なお、世界全体でペット関連市場の規模は、2030年に5000億ドル(約78兆円)規模に達するとの予測もある。

日本人は猫すら飼えなくなってきた?

また、飼育頭数の変化は、今後の景気を占う上でも重要な示唆を持つ。2025年、わが国の猫飼育頭数は884.7万頭、前年の915.5万頭を下回った。物価が上昇し、キャットフードをはじめ飼育コストは増えた。「飼いたいが負担を考えると控えざるを得ない」と考える人は増えたのだろう。

猫の飼育をあきらめた人の中には、猫グッズを購入して満足感を得る人のほか、種類にもよるが、猫よりも飼育の手間がかからない爬虫類を飼う人もいるようだ。

愛玩用の動物飼育の傾向は、消費者マインドの状況を示唆するとも考えられる。今のところ、国内では猫ブームはまだ続くとの見方は多い。

ただ、ブームがいつまでも続くとは限らない。昨年の猫の飼育頭数が前年を下回ったことを見る限り、猫ブームは徐々にしぼむ可能性はある。それは、わが国景気の回復が鈍化する懸念を示唆しているのかもしれない。いずれにしても猫ブームは興味深い現象だ。

【関連記事】
11体のラブドールと暮らし"正しい性行為"を楽しむ…「人より人形を愛する男たち」が奇妙な生活を始めたワケ
新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰【2025年8月BEST】
だから習近平は「高市叩き」をやめられない…海外メディアが報じた「台湾問題どころではない」中国の惨状【2025年12月BEST】
なぜサンリオ辻会長は「やなせたかし」に資金を出し続けたのか…詩集だけではない反対押し切り始めた新事業【2025年8月BEST】
手作り弁当550円、おにぎりは今でも110円…セブン、ローソンがマネできない吉祥寺「個人コンビニ」の地味な戦略