犬より猫を選ぶ人が増えたワケ

一般社団法人ペットフード協会によると、2013年の猫の飼育頭数は840.9万頭で、犬(871.4万頭)を下回っていた。ところが、2014年、猫の飼育頭数は犬を上回った。この頃から猫人気は上昇し、ブームになったとみられる。

猫人気の要因の一つとして、少子化、高齢化の影響がある。生活の潤いのため、愛玩用の動物を飼いたいと思う人は増えた。ただ、犬は(犬種にもよるが)散歩など、しっかりとした運動が必要だ。それに対して、猫は室内でも飼育できる。高齢者などが寂しさを紛らわすために猫を飼うケースは増えた。

【図表1】ペットを飼育する理由
東京都における犬及び猫の飼育実態調査(令和6年度実施)」よりプレジデントオンライン編集部がGeminiで作成

飼育のコストも、相対的に低い。ある試算によると、餌と医療費含みで猫の1カ月当たりの飼育費用は7300円程度、それに対して犬は1万3900円程度だ。トリミングを入れると、犬の飼育コストはそれ以上だろう。

長時間留守にしても、猫は大きな問題にはなりづらい。それに対して、犬はストレスを感じやすいようだ。犬と猫、両方の飼育経験がある人に聞くと、総じて猫は飼いやすいと話す人は多い。

「経済効果3兆円」の一大市場に

また、2014年頃から、わが国の単身世帯数の増加ペースは、過去のトレンドを上回り始めた。その一因として、結婚よりもキャリアを重視する人は増えたことが考えられる。このタイミングは、猫の飼育頭数が増えた時期と重なる。

経済が長期停滞に陥り、賃金は伸び悩む中、単身の暮らしを充実させるため猫を飼う人は増えたのだろう。「寂しさを解消したい」、「愛情をかける対象が欲しい」という欲求もあるだろう。コロナ禍での巣ごもりもそうした心理を押し上げた。

また、SNSの影響もあっただろう。YouTube、TikTok、Xなどで猫関連のコンテンツは急増した。活発に動く犬より、猫は撮影しやすくコンテンツ作成に適しているようだ。

猫の写真を撮る女性
写真=iStock.com/Hakase_
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わが国の少子化・高齢化を背景に、生活面で心理的なうるおいを求める一方、コストを抑えて実現するため猫を飼う人は増えたのだろう。飼育に必要な資材に加え、猫関連のキャラクター、グッズ、イベントなどの需要も増加した。猫ブームの経済効果は3兆円程度に達するとの試算もある。