経済成長期は大型犬、バブル崩壊後は猫へ

猫ブームが起きているのは、わが国だけではない。その一例に中国がある。2019年、中国での猫飼育頭数は約4064万頭だったようだ。2023年には約1.7倍の6980万頭に達したといわれている。報道によると、高学歴の若年層ホワイトカラーに猫人気が高いようだ。

主な要因として、経済環境の悪化が挙げられる。現在、中国経済は不動産バブル崩壊でかなり厳しい。昨年12月、若年層(16~24歳)の失業率は16.5%と高かった。

大学、大学院を修了したが、思ったように就職できない人も多い。不満や孤独感を紛らわすために、猫を飼ったり、猫の動画やグッズに囲まれて暮らす人は増えたようだ。

興味深いことに、中国では経済成長率の変化と歩調を合わせるように、ブームの対象になる動物が変わった。債務問題が深刻化する前の2014年頃まで、チベタン・マスティフのような大型犬の人気が高かった。一時、血統の良いマスティフに数億円もの値が付いたと聞く。

チベタン・マスティフ子犬
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ところが、不動産バブルが崩壊し始める2015年頃から、中国経済の減速は鮮明化した。それに伴い、大型犬ブームは終焉したといわれている。コロナ禍前後は、柴犬などの中小型犬の人気が高まったようだ。そして近年、猫へと人気がシフトしたといわれている。

経済格差が広がる韓国でも猫ブーム

また、韓国も猫ブームのようだ。きっかけの一つは、SNSの流行だった。K-POPスターがペットの猫をSNSにアップしたことも、猫人気に拍車をかけた。

韓国固有の要因も影響しているだろう。近年、サムスン電子など大手企業の業況は比較的良い。しかし、中小企業などの収益環境は楽観できない。ソウル近郊の住宅市況は高騰し、若年層と現役世代の経済格差も拡大傾向とみられる。そうした要因が、ワンルームでも飼いやすい猫の人気を押し上げたのだろう。

米国でも、猫の飼育頭数は増えている。主にZ世代(1996〜2012年生れ)の若者に人気のようだ。日中などと異なり米国では犬の飼育頭数も増えた。世界経済の中で米国の景気が比較的好調であることは一因だろう。

傾向として、当該国の景気が拡大している時期、大型犬などコストをかけてペットを飼う人は増える。反対に、景気が減速、あるいは経済成長率が低下すると、相対的にコストの低い猫などに需要はシフトするトレンドがみられる。