20年、30年と長く続く老後

また、子どもが独立したことで、ようやく自分自身の人生を見つめ直す余裕が生まれて、第二の人生を考えるようになる女性も少なくありません。

加えて、女性の社会進出や経済的自立が進み、「離婚しても何とかやっていけそうだ」という見通しが立つようになったことも決断を後押ししています。

制度的な後押しもあります。2007年に導入された「離婚時の厚生年金分割制度」によって、婚姻期間中の厚生年金の記録を夫婦で分割できるようになりました。これによって、離婚後の経済的な不安が以前よりも軽減されるようになり、「離婚したら生活できなくなる」という不安要素がひとつ減ったのです。

さらに現代は人生100年時代。「老後」といっても、20年、30年と長く続く可能性の高い時代です。その長い時間を、我慢やストレスを抱えたまま過ごすのか、それとも残された人生を自分らしく生きるのかという問いが、多くの人にとって現実的になってきました。

そうしたなかで、最近の傾向としては妻だけでなく、夫のほうから離婚を切り出すケースも増えているそうです。

離婚届と指輪を持つ手
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仕事一筋の人生からようやく解放された定年をきっかけに、「残りの人生も、このままでいいのだろうか」と考え直し、第二の人生を自分らしくやり直したいと離婚を決意するケースが増えているそうです。

定年によって、生活や人間関係ががらりと変わることで、これまで当たり前のように隣にいた結婚相手をあらためて見つめ直すきっかけになるのです。

外見より「内面の相性」が熟年に問われる

若いころというのは、見た目や条件など外面的な要素に目が向きやすく、内面の相性まで十分に意識が向かないことも少なくないのではないでしょうか。

たとえば女性の場合は、相手の男性に「高い学歴」「一流の勤め先」といった世間的な評価基準を求めることがあるかもしれません。「生活の安定」や「親の安心」を求める人も多いでしょう。

一方、男性のなかには相手の女性に「容姿」や「若さ」といった、やはり外側から見てわかりやすい要素を重視しがちな人も少なくありません。

そのため、結婚当初は、「本当に気が合うかどうか」「一緒にいて楽しいか」「話が合うか」といった内面的な相性が、どうしても後回しにされる傾向があるように思います。

ところが、定年を迎えると、四六時中夫婦で顔を突き合わせるようになり、一緒に過ごす時間が長くなる。すると、こうした内面的な部分が気になるようになってきます。

「一緒にいて居心地がいいか」「この人といるときに自分らしくいられるか」といった問いが、日常生活のなかで見過ごせなくなるのです。