年をとるとストレスが体に与える影響も大きい
子どもがようやく巣立ち、社会的な役割もひと段落して、これからやっと自分のために生きていける段階に入ったとき、「この相手と残りの人生を一緒に過ごせるか」という問いに直面するのは、むしろ自然なことと言えるでしょう。
老後は、かつてよりずっと長くなりました。これから数十年も生きていく可能性があるのに、その時間をストレスや我慢とともに過ごすというのはかなりの負担です。
また、年をとるとストレスが体に与える影響も大きくなります。それによって免疫機能が低下すれば、がんや感染症にかかりやすくなるといわれていますし、うつ病を発症するリスクも高まります。若いころは何でもなかったことが、歳を重ねることで深刻な問題になってくるのです。
ですから、熟年離婚というのは単なる夫婦関係の破綻ではなく、「自分の人生をよりよく生きるための選択肢」として捉えることができます。
段階を踏むのもひとつの方法
今はひと昔前と違って、離婚自体はそれほど珍しいことでもなければ、恥ずかしいことでもなくなりました。もうこれ以上、2人の関係がどうにもならないと感じたなら、潔く離婚を選ぶというのも選択肢のひとつとしてあっていいと思います。
実際に私が見てきた多くの熟年夫婦のなかには、「離婚して心が晴れた」と嬉しそうに話す人が少なくありません。とくに女性のほうが離婚後に気持ちが前向きになり、元気を取り戻していくケースは非常に多いです。
ただし、だからといって勢いだけで離婚に突き進んでしまうと、今度は生活が立ちゆかなくなるというリスクもあります。
離婚というのは、心の問題だけでなく、経済的な問題や生活上の問題とも深く関わっているのです。手続きを進めるにしても、話し合いをするにしてもそれなりにエネルギーがいりますし、精神的な負担がかかる人もいます。そう簡単なものではありません。
ですから、たとえば「相手のことが嫌いというわけではないけれど、長く一緒にいると不満やストレスを感じることが多い」という場合には、すぐに離婚という形態を選ぶのではなく、いったん距離のとり方を工夫してみるという考え方もあります。
たとえば、週末だけ別々に過ごしてみるとか、2人が会わない時間を意識的につくってみるなど、段階を踏むのもひとつの方法です。
そうやって「距離をとる暮らし方」を試してみて、自分たちにとってどれくらいの距離感がほどよいのかを探ってみるのもいいと思います。

