記者会見での際どい質問

記者会見の場では、このご発言の重大さに気づいた記者が、関連質問として、以下のように踏み込んでたずねている。

「(5問目に関連して)陛下は先ほど、平和の尊さを次世代へと引き継いでいく役割を愛子さまにも担ってほしいというお気持ちを示されましたが、愛子さまは国際親善に関しましても、ラオスで2度にわたり皇室の歩みを引き継いでいくという思いを述べられました。こうした大切な務めについて、愛子さまには末永く、このような(皇族としての)活動に携わってほしいというような思いの表れで5問目のお答えがあったでしょうか」

記者がここで「末永く」と言っているのは、「ご結婚後も」という含意であることは疑問の余地がない。そうであれば、今回の特別国会で皇室典範の改正への方向づけがなされる可能性も高まっている中で、憲法上、国政に関与できない天皇陛下のお立場を考えると、かなり際どい質問とも言える。

しかし、皇室典範の適用を受ける当事者はあくまで天皇陛下をはじめとする皇室の方々だ。そうである以上、当事者のご意思をないがしろにして議論できないことも、もちろんだ。

それは人道上も欠かせないことだし、制度の持続性、安定性の点でも当然の配慮だろう。

天皇陛下の“強い”願い

天皇陛下は、答えにくい質問に対しても、誠実にお答えになっている。

「私達はやはり愛子にも1人の人間として、そしてまた1人の皇族として立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきたつもりです。そういうことの延長線として、今後ともいろいろな面で力を出してほしいし、国際親善の面でも活躍してほしいという願いを強く持っている次第です」

先の踏み込んだ質問とこの率直なお答えを照らし合わせると、陛下のご真意は誤解の余地なく伝わる。「“皇族として”立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきた」「“その延長線”として、“今後とも”いろいろな面で力を出してほしい……」「という願いを“強く”持っている」と。

このおことばを素直に受け取る限り、天皇陛下は敬宮殿下がご結婚後も皇族として活躍され続けることを「強く」願っておられる、と理解する以外にない。このことは、これまでも宮内庁長官の発言やその他さまざまな面から、間接的には拝察できた。しかし今回ほど真正面から、陛下ご自身が自らのご意思を明らかにされたことは、これまでなかったのではないか。

この場合、それが皇后陛下や敬宮殿下ご本人のお気持ちを踏まえられたものであることは、改めて言うまでもないだろう。

天皇、皇后両陛下と長女の愛子さま
天皇、皇后両陛下と長女の愛子さま(写真=外務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons