感じられる「遠い将来を見通したまなざし」

記者会見では、まず「災害が続く時代に象徴としてどのような役割を果たしていきたいか、お聞かせください」との質問(1問目)があった。これに対するお答えの中に、次のようなご発言があった。

「(敬宮殿下が昨年、能登半島地震の被災地を訪問されたことに触れられた上で)災害や復興の記憶を長く引き継いでいくことの大切さも心に刻んでいるように思います。愛子にも、これからも被災地の人々に心を寄せていってもらいたいと思っています」

このご発言からは、敬宮殿下が“長い時間軸”の中で、被災地の人々に心を寄せ続けることを期待しておられるお気持ちが伝わる。「長く引き継いでいくことの大切さ」とか「これからも……心を寄せていってもらいたい」という表現からは、遠い将来までも見通したまなざしが感じられる。

66歳の誕生日を前に記者会見される天皇陛下。2026年2月19日、宮殿・石橋の間(代表撮影)
写真提供=共同通信社
66歳の誕生日を前に記者会見される天皇陛下。2026年2月19日、宮殿・石橋の間(代表撮影)

これからも皇室の一員として

また、「愛子さまのご様子」をたずねた質問(2問目)に対するお答えには、こんなお気持ちも吐露されている。

「今後、皇族としての仕事の幅も徐々に広がってくるのではないかと思います。愛子には、引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら、これからも多くの経験を重ねて更に成長し、皇室の一員としての務めを果たしていってくれることを願っています」

こちらのお答えでは、「“皇族”として……」「“皇室の一員”として……」という表現が、繰り返されている。敬宮殿下が「今後」「引き続き」「これからも」末永く「皇族」、「皇室の一員」として、その「仕事」「務め」を担い続けられることを願われる陛下のお気持ちが、よりストレートに示されている。

しかし、今の皇室典範のルール(第12条)では、内親王・女王がご結婚されたら、男性皇族の場合とは異なり、ただちに皇族の身分を失い、国民の仲間入りをされる。だから、このルールがそのまま残っていると、敬宮殿下がご結婚を断念されない限り、天皇陛下の願いはかなわないことになる。

未婚の女性皇族だけが、“幸せなご結婚”か“皇族としてのご活動”か、二者択一を迫られる不条理なルールになっているためだ。

愛子さまに期待される役割

さらに、「昨年は戦後80年にあたり、戦没者慰霊のために各地を訪問し、愛子さまも同行された」ことをめぐる質問(5問目)についてのお答えは、とくに注意すべきだろう。

「愛子にとっても、戦争の悲惨さや平和の尊さを改めて感じることができた1年だったのではないかと思います。戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしいと思っています」

陛下はこのようにお答えになった。

「平和の尊さ」を受け継ぐことは、実際に苛烈な戦争のさなかに天皇として在位された昭和天皇以来、代々の天皇にとって最も大切なテーマの1つだ。それを「次の世代へ引き継ぐ役割」を敬宮殿下に期待されていることを、天皇陛下が自ら表明された事実は重い。