取材を申し込むも「誤解を招く」
ジャコウネコ科のビントロングも人気だ。生息地はインド北東部、東南アジアの森林で、樹上で生活するが、狭いケージに閉じ込められていた。触れ合いの時だけ出され、しきりに客の背中に覆い被さろうとしていた。
丸い目、焦げ茶色のキンカジューは中南米の熱帯雨林に生息するアライグマ科。ほとんどの時間を樹上で過ごす。ある店では、生後2カ月程度の赤ちゃんが小さなケージに入れられていた。退屈なのか、母親が恋しいのか、自分と同じ大きさのぬいぐるみに抱き付き、かみ続けていた。
衛生面でも気になる点は多かった。水用の皿は糞やえさなどで汚れ、床は一部分だけ糞が取り除かれているだけで、そこにほんの少しの敷料がまぶしてあった。ゴキブリなど虫がわいていた店もあった。
幾つかの動物カフェに取材を申し込んだが、「さまざまな愛護的思想がある中で誤解を招く」「いろんな方向で捉えられる可能性がある」などとして、すべて断られた。
動物福祉ゼロの環境で飼育される絶滅の危機のある動物たち
このような状況を「公衆衛生と動物福祉の点で問題がある」と指摘するのは、田中亜紀・日本獣医生命科学大特任教授(野生動物学)だ。
「劣悪な飼育環境で動物福祉はゼロ、過度な触れ合いは動物と人の双方にとって感染症に罹患する危険性がある。日本は野生動物の生態、習性を配慮した飼育の規制、基準がなく、無法状態と言える」
WWFジャパンと北海道大獣医学研究院が昨年6~7月、東京周辺の計25店の動物カフェを対象に実施した調査でも、野生動物の保全や感染症などに対するリスクが浮き彫りになった。
調査の結果、ほ乳類、鳥類、は虫類、両生類のいずれか一類のみを扱っていたのは9店、複数がいたのは6割に当たる16店。個体数は計1702頭で、うち781頭は販売もされ、459頭がコツメカワウソ、シロフクロウなど絶滅危惧種に該当した。
脱毛・脱羽、皮膚炎、爪の伸び過ぎがあったのが13店、体毛や羽毛にふん便などの汚れがあった店が1割あった。
動物の体表をなでて採取した検体を解析した結果、計137種類の細菌を検出。
・ESBL産生菌(2店)やMRCNS(7店)といった薬が効きにくくなる薬剤耐性菌
なども確認された。
WWFジャパンは「絶滅危惧種やワシントン条約で国際取引が規制されている動物が展示されていた。動物カフェが利用者の飼育意欲を刺激し、結果的に違法取引など野生個体群への悪影響を及ぼす恐れがある。店舗では衛生管理の不備も確認され、不特定多数の人が動物に触れたり、店舗に滞在したりすることで接触感染や細菌の拡散といった潜在的な温床になり得る」と警鐘を鳴らす。


