癒されているのは人間だけ…
繁華街にある雑居ビルの狭い一室。入室すると、8畳ほどの空間の両側にずらっと生息地が違う約20羽のフクロウが等間隔で止まり木に固定されていた。
消毒薬のにおいがかすかに漂い、鳥の声入りの環境音楽が流れている。中央に置かれた金網のケージには、ナマケモノがいた。奥のケージにはスナネコが木箱の中で丸まっている。ナマケモノは熱帯の湿気の多い森林などにすみ、主に樹上で生活する。スナネコも北アフリカや中東の砂漠地帯に生息する野生の猫である。これは、実際に私が東京都内の某動物カフェで見た光景だ。
ハリネズミやウサギ、カワウソ、サルなどのほ乳類、ヘビ、イグアナなどのは虫類、フクロウ、インコなど鳥類といった野生動物を含めた多様な生き物が展示されている動物カフェ。その数は、国内に約100店舗余り、動物は400種以上に上る(WWFジャパン調べ)。
「かわいい」「癒やされる」と多くの客でにぎわう一方、「生態や習性への考慮が不十分な飼育環境で動物福祉(精神的・肉体的に十分健康で幸福であること)が守られていない」「不特定多数の触れ合いによる感染や細菌拡散の可能性がある」などと、専門家らから懸念する声が上がっている。
巣箱に草を無理やり押し込む
こうした状況を改善するため、環境省は飼育環境や健康管理、展示時間などほ乳類に関する具体的な飼育基準を今年中にも策定する予定だ。ただし、具体的な基準で規制できるのは、ウサギ、ハムスター、モルモットをはじめとした十数種類に限られ、その他多くの動物種が置き去りにされる心配がある。
私はこれまで、さまざまな動物カフェを見学してきた。どこも触れ合いを売りにしており、特に小動物との過度な接触が目に付いた。土日祝日は客が多く、動物は絶え間なく触られていた。
例えば、モルモットは皆一つしかない巣箱に隠れるが、そこに客が草を押し込み食べさせている。大勢の子どもが逃げようとするヒヨコをつかまえている。小動物のエリアに1人しかいない店員が「触り終わったら、次の列の方にお譲り下さ~い」と叫び続けていた。痩せている個体もいた。

