「雇止め」も覆せるケースがある
この3つに加え、期間の定めのある労働契約の場合には「期間満了」というパターンがあります。これを「雇止め」と呼ぶことも。あらかじめ期間を定めた契約なので、期間が終わると契約が終了するのは当たり前ではないかと思われるかもしれません。しかし、この場合も単純ではなく、一定のケースでは法律上の制限があります。
たとえば、最初に期間3カ月と説明されて働き始めたものの、それから何年間も契約書を作るわけでもなく働き続けている場合、急に「既に期間満了しているので本日で終了です」と言われても納得できる人は少ないでしょう。他にも6カ月の契約を締結し、何度も繰り返し更新していて、何もなければ次回も更新されるだろうと思っていたところに「期間満了で終了です」と言われても納得できない人が多いと思います。
法律(労働契約法19条)では、「実質的に期間の定めがないといえる場合」、「期間の定めがある契約だけれども労働者が次も更新されるだろうと期待することに合理的な理由がある場合」のどちらかに該当すれば、解雇と同様に「契約更新しないことについて、客観的で合理的な理由と社会通念上相当であること」が求められ、この2つを満たさない雇止めはできないとされています。
もしも満たさない場合は、労働契約の更新があったものとみなされるのです。したがって、使用者は期間満了だからといって安易に雇止めをすると、解雇と同様に後に覆されるリスクを抱えることとなります。
退職勧奨には合意しなくてもいい
さて、ここからが本題です。これまでに見てきた通り、解雇や雇止めを行う場合、会社側には一定のリスクがあります。そのため、なんとかリスクを回避しようと、解雇や雇止めをする前に「退職の合意」を得ようとすることがあります。前述した労働契約終了パターンの③にしようとするということです。
よくある相談に、「会社から退職勧奨を受けたら、合意しなければいけないのか?」というものがあります。結論から言うと、労働者には退職勧奨を受け入れる義務はありません。むしろ、労働者が断っているのに退職勧奨をし続けると「退職強要」という不法行為となることもあります。
退職勧奨は、あくまでも使用者から労働者に対して、「労働契約を終わりにしませんか?」という申し入れに過ぎませんから、労働者が「嫌です」と答えたら、それで話は終了です。自分の意思に反して辞めることを選ぶ必要は全くありません。
もちろん、退職勧奨を受けた会社に残りたくないという気持ちが芽生えることもあるでしょう。その場合は、退職に当たっての条件(金銭の支払や在籍期間)を交渉することもあり得ると思います。
ただし、その場合でもすぐに同意したり、書面にサインしたりすることは悪手中の悪手ですので、絶対にしないようにしましょう。退職するかどうかについても、条件についても「一度持ち帰って検討します」と応じればよく、それに対して難色を示す使用者がいたら、その態度が語るに落ちるというものでしょう。

