大阪・四ツ橋に一風変わった営業スタイルの「楽屋A」というお笑い劇場がある。劇場やライブハウスは、出演者から会場のレンタル料を徴収して、場所だけを貸すのが通常。しかしここは企画さえ持ち込めば、あとはネタを披露するだけでいい。なぜそのような運営方法を取るのか、オーナーの加藤進之介さん(33歳)に取材した――。
元相方はM-1王者「たくろう」の赤木裕
楽屋Aのオーナー加藤進之介さんは、大阪大学在学中に休学をして養成所へ入り、芸人を志していた。M-1グランプリ2025の王者「たくろう」の赤木裕さんと当時コンビを組み、卒業ライブでは4位という華々しい結果を残すほどの実力だった。
しかし、加藤さんが芸人として進むことに家族は反対した。
「反対を押し切ってやるからには、本気でやる。卒業ライブで優勝できなかったら、自分には芸人として売れる才能がきっとないから、きっぱり諦めよう」
その誓いに従い、加藤さんは養成所卒業とともに芸人の道を諦める。
「芸人たちの給料を上げたい」
大学卒業後は商社に勤めるものの、自分の未来が大体予想がついてしまうことに退屈さを抱いた加藤さん。転職したとしてもきっとそれは変わらない。自分にはなにができて、なにがしたいのかを棚卸しした結果、「やっぱり自分にはお笑いしかない」と気付き、再び芸人になるのではなく、劇場を作ることにしたという。
その理由を「芸人の収益構造にもともと疑問を持っていて、彼らの給料を上げたかったから」と加藤さんは言う。

