CAが陥った「英語コンプレックス」
実はカナダに移住したばかりの頃、髪の毛を短くしていました。北米のアジア系男性は短髪にしている人が多く、私も彼らのスタイルを真似てみたのです。当時は「とりあえず見た目から『カナダっぽく』しなきゃ!」と強く思っていました。
職場では、日本ではしないようなオーバーリアクションをして「カナダ人らしく」振る舞おうとしていました。けれど心の中では「これは、ほんまの自分じゃないな」と違和感を覚えていたのも事実です。
こういった現象を「過剰適応」と呼ぶようです。特に少数派(マイノリティ)が新しい環境に必死で馴染もうとすると、自分を押し殺してしまう――そんな状態のことです。
「カナダ人らしくしなくては」と思っていた頃には、英語へのコンプレックスも抱いていました。新人時代にはブリーフィングの最中、私がごく簡単な言い回しの英語で発言したにもかかわらず、あるベテランクルーに「何を言ってるか、わからへん」という意地悪なリアクションをされたことがあります。他のクルーは全員理解しているにもかかわらずです。
ショックを受ける質問「どこ出身?」
それからというもの、機内アナウンスするときも「お客さんから『あの人の英語、何?』とか言われるんちゃうか」「同僚から英語をダメ出しされたらどないしよ……」と、常に不安が頭をよぎるようになりました。
“Where are you from?(出身はどこ?)”と聞かれるのもすごくショックでした。「自分の英語がおかしいから聞かれてるんや」と過敏に反応していたからです。また、相手の言っていることがわからなかったら、すぐに“Sorry”と下手に出てしまうことも。そうなるとさらに気持ちが焦ってしまい、ビクビクした態度になって、ますます悪循環に陥ってしまうのです。
