“負けを認めない”ベテラン幹部も
さて、学会員たちの組織の規模や勢いを測る客観的な指標が次々と消えていくなかで、「“大勝利”体験」の機会は減少し続けている。
そして、折伏成果や信者数などの公表が行われなくなったいま、「大勝利」を実感できる唯一の機会が、公明党の選挙結果だった。しかし、直近の中道改革連合の惨敗が示す通り、その最後の砦ともいえる選挙でさえ、明確な結果を出すことが難しくなっている。
公明党はここ数年の国政選挙で、厳しい結果が続いている。2024年10月に行われた衆議院議員選挙では、当時の代表だった石井啓一衆議院議員が落選し、2025年6月に行われた東京都議会議員選挙と、同年7月に行われた参議院議員選挙でも重要な選挙区を複数落とし、現有議席を下回る選挙結果となった。
「大勝利」できず、それどころか連敗が続く創価学会の雰囲気はどのようなものなのか。取材に応じた関西在住の40代男性はこう語る。
「選挙での負けが続いているのに、今後のビジョンがまったく示されていない。地元幹部に『これからどのように戦っていくのか』と聞いても『これからがスタート。立憲の議員に対して、創価学会への理解を深めてもらうように働きかけていくしかない』という回答しかなかった。驚くことに、ベテラン幹部のなかには、明確に負けを認めていないような態度を示してきた人もいた」
「大勝利」以外の価値観が存在しない
創価学会の関西地域といえば、「常勝関西」と呼ばれるほど選挙が強いことで知られている。だが、2024年の衆院選挙では、大阪の小選挙区をすべて落としている。
予期せぬ連敗が続いたことで、これまでの価値観や、組織運営のアプローチが通用しなくなり、混乱する現場の雰囲気が伝わってくる。
「大勝利」という体験を積み重ねることで、信者たちの一体感を高め、組織に勢いをもたらしてきた創価学会。だが、勝利を祝う機会が失われつつある現在において、勢いのあった時代のフレーズが効果的なものではなくなっているように見える。
別の言い方をすれば、これまで公明党支援である程度の成果を出し続けてきた創価学会にとって、組織を運営する価値観が「大勝利」以外に存在しないのではないか。
つまり、組織の拡大に失敗したときや、選挙で負けたときに会員のモチベーションを高める価値観や、フレーズを持っていないと考えられる。

