まずは相手から「聞き出す」ことに徹する

悩みを抱えている相談者が防衛の構えを解いて、自分が感じているままに感じることを促していくために欠かせない、カウンセラーの心がけのようなものと考えてください。

そして、その心がけは、1on1で部下が普段感じていることをそのまま話しやすくなる場づくりにも、非常に効果的だと私は思います。

キャリアカウンセリングでも、1on1でも、ほとんどすべての問題は本人にしか解決できません。本人が具体的なアドバイスを求めているのであれば、もちろんサポートの手は差し出したほうがいい。

けれども、相手から求められていないのであれば、まずは「聞き出す」ことに徹してください。

そもそも、何か役に立つことを言わねばという義務感から、「自分の時はこうだった」「だからこうすべきじゃないかな」と部下にアドバイスしている時間は、相手を「聞き役」にしている時間でもあります。もしかしたら、部下はあなたに気を遣って「聞き役」を演じている可能性さえある。

それは相手が自分で考えて答えを見つけようとする機会を奪っているのと同じです。

まずは、しっかり聞き出す。その上で、日頃からの観察で見えてきた相手の好きなところも伝えると、相手もより本音を話しやすくなるはずです。

オフィスで働く日本人女性
写真=iStock.com/lielos
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1on1の満足感は「聞き出し役」次第

最近の調査によると、日本企業のおよそ7割は何らかの形で定期的な1on1ミーティングを導入しているとの結果が出ているそうです。

働き方改革やリモートワークの普及とともに実施頻度が増えた1on1ですが、半年や2〜3カ月に一度程度のところもあれば、毎月実施している企業もあります。

企業規模や業種にかかわらず、会社員として働いている人であれば半数以上が1on1を経験していると考えて差し支えないでしょう。ただ、それゆえに多くの人が、それぞれの立場から1on1の難しさも感じているようです。

もちろん、人によって1on1の目的は違うかもしれませんが、私の考える1on1は「部下が上司に話を聞いてもらう場」です。そこで有益なアドバイスをあげた・もらったという判断軸は私のなかにありません。

部下側が成果をアピールしなければと思う必要もなければ、上司側が1on1の場で部下を評価する必要もない。

それよりも、1対1で向き合った時に、上司に自分の言葉を受け入れてもらえたという実感を部下に持ってもらう場にしたほうが、ずっと意味があると思います。