4年間にわたる「いじめ」の放置
こんな事件がありました。すべて、実話です。順を追って、書いてみます。
茨城県石岡市で、市内に住む女子生徒が、小学3年から卒業までの4年間にわたり、同級生6人からいじめられていました。暴力や金銭の要求を受けるという、悲惨ないじめ被害です。
ことの発端は文房具の貸し借りという些細なトラブル。そこから無視や暴力に発展し、首を絞められる、拳で殴られるといった行為がくり返されました。小学生同士で、です。
さらに、鍵盤ハーモニカのふたで指を挟んだことを理由に、「慰謝料として10万円をよこせ」と金銭を強要されるなども確認されています。第三者委員会は、少なくともこれらを12件のいじめとして認定しました。
被害生徒はどうなったのでしょうか。精神的に追いつめられ、小学6年の6月から登校できなくなり、自宅には「死にたい」と書かれたメモが残されるなど、自殺を案じさせる状態になりました。医師からは、抑うつや睡眠障害が見られると指摘されています。
しかも、です。被害生徒の保護者は小学3年の段階で担任にいじめを訴えていました。それにもかかわらず、担任は「注視したいと思います」と述べるにとどまり、なんら具体的な対応をしませんでした。校長も教育委員会への報告を怠っていました。
さらに、です。当小学校はアンケートなどの資料を年度ごとに廃棄しており、問題を継続的に把握する体制すらありませんでした。結果、4年にわたり被害は放置され、ようやく重大事態として公表されたのは、被害が深刻化した後でした――。
「犯罪」をボカせる便利な言葉
結論から言いましょう。
この事件で最も追及すべき点は、「子どもが壊れるまで放置した大人が、普通に職場に残っていること」です。
いや、そもそもこれって結構シンプルな話なんですが。
つまり、小学生の女子生徒が4年間、殴られて、首を絞められて、お金まで要求されていた。しかもその情報は学校側に伝わっていた。それでも何一つ、状況が変わらなかった。
普通に考えて、「それって犯罪じゃないの?」って話なんですよ。
まず、この問題をややこしくしているのは、「いじめ」という言葉です。これ、便利な言葉なんです。便利すぎる。なぜかというと、「犯罪」をボカせるからです。
「殴る」のは暴行です。「首を絞める」のは、下手すれば殺人未遂に近い。「お金を要求する」のは恐喝です。普通に全部、刑法の領域の話です。
でも日本では、それを「いじめ」と呼ぶことで、急に「学校内の問題」に変換される。いやいや、ぜんぜん違うでしょ、と。


