PTAのスリム化や解散を選ぶ学校が出てくる中、保護者や教師に昔ながらの活動負担を強いるPTAもいまだに多い。元教師の“のぶ”さんは「息子が全校生徒500人規模の小学校に入学し、あえてPTAに入らずにいたら、PTA会長から『退会届を副校長に直接手渡して』という手紙が届いた」という――。

教員時代の経験から子どものPTAには入らないと決めていた

今年、私の息子が小学校に入学した。中学校教員として10年間勤めた経験がある私だが、今年からは初めて保護者という立場で学校と関わっていくことになった。実は子どもが小学校に入学するずっと前から心に決めていたことがある。それは、PTAに入会しないことだ。そしてPTA非会員となって半年たった今、学校から脅しともとれる驚くべき内容の手紙が届いた。その経緯と内容を紹介したい。

まず私がPTAに入会しなかった理由は二つある。

一つは、教員時代に今のPTA活動は学校に必要ないと感じたからだ。

PTA総会からPTAだよりの印刷まで、教師も保護者も忙しいのに夜間や休日の時間を奪われる。例年通り決められた活動を嫌々こなすPTAの必要性にずっと疑問があった。そしてコロナ禍で集会が禁止になり、すべてのPTA活動が中止になったとき、学校運営で何一つ困ることはなかった。これまで我慢して続けていたPTA活動は不要だと確信したのだ。

もう一つは、PTAは任意加入の組織という認識が世間に広まってきたことだ。

PTAはあくまで任意団体であり、保護者に加入義務はない。最近はPTAの在り方がニュースで取り上げられることが増え、岸田文雄首相も「入退会については保護者の自由」との認識を示している。にもかかわらず「入会しない」という選択をする人はまだまだ少数派だ。がまんして入会する人がいる限り、PTAの在り方は変わっていかない。私自身がPTAに入会しないことで、実際にどんな問題が起こるのか経験したいと考えた。

PTAネームプレートの受け取りを拒否する女性の手元
写真=iStock.com/takasuu
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PTAはあくまで任意ということが入会届には書いていない

息子が入学してからすぐ、学校から分厚いPTA会則と共に入会届を受け取った。入会届には入会しない意思を表明する欄はなく、PTAが任意組織である説明は書かれていない。全員が入会することが前提の内容で、正直PTAの改革に遅れを感じて不安はあった。

しかし、担任には連絡帳で「PTA入会届は提出しないこと」「PTAに入会する意思はないこと」を伝えた。どんな反応が返ってくるか気にしていたが、担任からの返事は一言「承知しました」だった。こうして意外にもあっけなくPTA非会員になることができた。

それからはPTA総会、PTA役割決めなどは当然不参加、クラスの保護者会もPTAに関する説明が含まれていたので欠席した。PTA関係の便りが学校から届いていたが、特に気にすることもなく処分した。運動会や授業参観には参加して、子どもの様子を見ることができた。特に不都合なく半年間が過ぎていたため、PTAのことはすっかり頭から消えていた。