連絡手段のデジタル化、小学校は1割未満
連絡帳は、子どもの様子や園・学校からのお知らせなどを、教員と保護者が共有するための連絡ツールです。保育園では、保護者が子どもの体調や家庭での様子を書き込み、保育士が園での様子を報告するとうやり取りが、ほぼ毎日されています。
幼稚園や小学校でも、先生と保護者が子どもの状況を共有するという面では同じです。ただ、こうした連絡手段は保育園や幼稚園でデジタル化が進んでいるのに対し、小学校ではまだ紙ベースのところが少なくありません。現状のデジタル化率は、保育園で5割程度、幼稚園で2割程度、小学校で1割未満(※)となっています。
※保育園 保育施設向けICTツールを開発している各社が公表している導入施設数を集計し算出(2022年1月コドモン調べ)
※幼稚園 コドモンの幼稚園導入比率を他社のICT導入施設数に掛けて算出(2022年1月コドモン調べ)
※小学校 東洋経済education×ICT「教育現場の連絡手段は令和時代でもやはり…ICT教育の情報収集は意欲的だが環境は未整備」(2021年1月10日)
補助金が保育園のデジタル化を後押し
保育園が最もデジタル化している理由としては、2016年に厚生労働省が保育施設に対して、デジタル連絡帳などを含む業務支援ツール導入のための補助金交付を始めたことが大きいと思います。待機児童の問題を解消するには、保育園の増設や保育士の確保、さらには保育業務の省力化も欠かせないという考えに基づいたものでした。
保育施設は預かり時間が長く、その間、保育士さんは子どもたちから目を離せません。そのため、事務処理作業や書類業務は子どもたちが帰った後、残業として行うケースも少なくありませんでした。
こうした働き方が退職につながってしまう場合もあり、現場では以前から書類業務の省力化が求められていました。もともとこうしたニーズがあったところに、補助金の開始で予算的な問題が解決できたため、デジタル化が進んだわけです。一方、小学校では、国は保護者との連絡のデジタル化を推進しているものの、現場では依然として進んでいません。先生たちの負担がかなり大きいのは周知の事実で、それはコロナ禍でさらに高まっているのに、どうしてなのでしょうか。