ICT導入を阻む3つのハードルとは

ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)システムは、先生の負担を減らすうえで大きく役立つものです。例えばコドモンは、入退室や勤怠時刻の管理、保護者との連絡、帳票書類の管理などをネットワーク上で行うことができ、作業時間の削減やスピーディーなやりとりを可能にするツールです。しかし、小学校への導入にはやはり高いハードルがあります。

導入のハードルは、多くの小学校にICT導入を提案させていただいた経験から、主に次の3つに集約されると思います。

1つめは予算の問題です。私たちの提案に対して、多くの学校関係者が悩まれるのが「予算をどこから出すか」ということです。小学校にはICT導入の補助金は出ませんから、負担するのは学校か教育委員会かPTA(保護者と先生の集まり)ということになりますが、現実的にはそれぞれに壁があります。

公立小学校は1校あたり、校長が自由裁量で使える年間の予算総額が10万円程度のところが多く、他に優先すべき使い道があってICT導入にまで回せないというケースが少なくありません。コドモンの例で言えば、導入費用は初期費用ゼロで月額5000円からと決して高額ではありませんが、それでも予算が回せないという学校は少なくないのです。

次に教育委員会ですが、こちらは保護者や学校職員等の地域住民の要望に基づき、検討して予算を出すことができます。それでも、教育委員会の事業として予算化まで持っていくには、年単位の時間も労力もかかるのに加え、他の事業との優先順位も考慮しなければいけないため、なかなか検討が進まないという現状があります。

これに対して、PTAは予算の面でも比較的融通が利きます。実際、保護者の提案でPTA予算を使ってICTを導入した学校もありますが、PTAの中で意見がまとまらなかったり、学校側が難色を示したりする場合もあります。

娘からスマホを取り上げようとしている母親の手元
写真=iStock.com/simarik
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「手書きだからこそ気持ちが伝わる」という反対意見

2つめのハードルは、ICTを導入したときのメリットについて、関係者の中に共通の認識が出来上がっていないことです。連絡帳のデジタル化については、「かえって教員の負担が増えるのでは」「デジタルに不慣れな教員や保護者もいる」「手書きだからこそ気持ちが伝わる」といった意見も根強くあります。

そうした反対意見が出た場合、メリットを挙げて説得したり、不安を払拭ふっしょくしたりするのは簡単ではありません。反対者が組織の長だった場合はなおさらで、結果として意見がまとまらず、導入を見送る学校も多々見られます。

「校長は3年程で異動が多くなるべく在校時にはトラブルになりそうな案件を避けたい」「システムを使用して、外部に連絡できる権限を持つのは教頭先生のみで、クラス単位の連絡をシステム化するのは現実的でない」などの学校側の事情は私たちも理解しています。

ただ、最近は保育園でデジタル連絡帳を経験した保護者も増えており、「小学校に上がったらもっと便利になると思っていたのになぜ紙に戻るのか」といった声も上がっています。こうした保護者がさらに増えていけば、メリットへの共通認識も自然と出来上がっていくのではないでしょうか。