そしてその奈良1区で高市氏を抑えた立憲の馬淵澄夫氏が創価学会と良好な関係を築くことになった。新党結成に向けて野田氏と斉藤氏が会談を重ねるなかで、野田氏の傍らにぴったりと寄り添う馬淵氏の姿が見られたが、野田氏と学会幹部をつないだのが馬淵氏だと言われている。

野党の虚をつく早期解散で一気に主導権を握ろうとした高市首相だが、その動きが、野田、斉藤の二人を追い詰め、一気に新党結成まで進んで、選挙情勢が一変することになった。新進党の因縁と悪夢に高市首相もまた巻き込まれているのだ。

新進党と同じ末路をたどるのか

高い支持率を背景に、高市首相は、早期の解散総選挙を決断した。経済対策や国論を二分するような法案を通すため、あるいは対立が続く中国と向き合うためにより安定的な多数に支えられた政権を作り直すための解散だと言い切った。

与党で過半数を取れなければ進退をかけるとも明言した。いわば背水の陣で、与党過半数を目指すという。

公明党の離脱、そして立憲と公明の合体という劇的な動きを経て、当初考えていたように、与党で安定多数を取れるかどうかは、不透明な情勢になった。

19日の記者会見では、深紅のカーテンを背景に、「高市政権を選ぶのか、ほかの総理を選ぶのか国民に決めてもらいたい」とまるで、かつて小泉純一郎首相が郵政解散に打って出た時の記者会見を彷彿とさせる演出だった。

2026年1月19日、高市早苗首相は記者会見を開き、衆議院を解散し総選挙を実施する意向を表明した
2026年1月19日、高市早苗首相は記者会見を開き、衆議院を解散し総選挙を実施する意向を表明した(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

しかし、そこから感じられるのは、退路を断ってなりふり構わず選挙に突っ込もうというある意味無謀な覚悟であり、「究極の自己都合、自己中心的な解散だ」と批判する声も出ている。

当初言われた自民党単独で過半数を大きく上回るような圧勝は考えにくくなっているが、とはいえ、内閣支持率が高止まりし、新党への期待もまだそれほど集まっていない。

情勢は、渾沌としていると言っていいだろう。そんな不透明な情勢の時だからこそ、公明党・創価学会の固い組織票が、どの程度新党の勢いを作ることができるかがポイントになる。

政権交代が視野に入るほど、新党が伸びて自民党に並ぶのか、それとも高市首相がそのままの勢いで安定多数を得ることができるのか。

学会票の行方が因縁の三人の明暗を分けることになるだろう。記録的な大寒波のなか、衆院の解散・総選挙で始まった政治決戦。高支持率を背景に政権のパワーを取り戻そうと勝負を仕掛けた高市早苗首相と、その奇襲攻撃に火をつけられた立憲民主党と公明党の新党結成。

26年間自民党を支えてきた公明党・創価学会の力が、そっくり新党側に移るのだろうか。新党を立ち上げた野田佳彦、斉藤鉄夫の共同代表が、いま最も頭を悩ませているのはそのことだろう。

(初公開日:2026年1月24日)

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