両家挨拶を凍らせた「母親のひと言」
いよいよプロポーズ、成婚退会を控えた二人に悲劇が訪れたのは、両家顔合わせの席。二人がお見合いした高級ホテルのラウンジで、双方の両親と二人が一堂に会した。そこで、彼の母親が、彼女に向かって、
「ところで、そちらさまは、毎月いくら生活費として入れてもらうことになっているんですか? いくらうちの息子がそれなりの給料とはいえ、あなたも月に8万円は約束してもらわないと」
と言ったのだ。
その場の空気は凍り付き、静まり返った。この母親の発言について、誰よりびっくりしたのは彼。まさか、自分の母親が、両家顔合わせの席で、二人の生活費についての意見を言い出すなどと、思いもよらなかった。
彼と彼女の間では、生活費については、彼が基本的にすべて出すことにしており、彼女の稼ぎからは、将来子供が生まれたときのために、貯金をしておこう、という話になっていた。彼も、母親がそんな心配までするとは思ってなかったため、両親に生活費の按分についての報告はしていなかった。だが、母親はその心配をしていたのである。
彼が止めるのも聞かずに、一度言い出してしまった母親は引くに引けず、おめでたいと喜び勇んで出てきたのに、毎月8万円を要求された彼女の両親はドン引き。顔合わせの場は、「生活費の話はお互いに持ち帰ってまた改めて」と、暗い雰囲気のまま、お開きになったのである。
「常識がない親」と激怒し破談に
彼女は、「あなたのお母さまはいったい何なの? 生活費の話は二人の間でしていたじゃない」と、彼を責め、彼は彼女に平謝り。
彼女のご両親は「常識がない親」と怒り心頭。
「あんな姑がいる人とは結婚しないほうがよい」と、賛成していた結婚に、ちゃぶ台をひっくり返して大反対。結婚ともなれば、結婚式や披露宴に始まって、これから孫が生まれたらそのお祝いのお宮参りや、七五三に始まり、冠婚葬祭を一緒に過ごさなくてはならない。
盆暮れの付け届けや、お盆やお正月の過ごし方、果ては介護問題まで、すべてのかかわりを持っていく相手。金銭感覚の違いや、価値観の常識が違う家同士は、ストレスが溜まりやすいであろうことは想像に難くない。
結果、このご縁は、両家の顔合わせをきっかけに破談となったのだが、後日彼を私との面談に呼び出した。
当然ながら、彼は母親に絶縁宣言をするほど、怒ったそうだが、彼から詳しい話を聞くと、彼の母親は、子離れ出来ていないばかりか、息子可愛さに、自分の息子が稼ぎ出したお金を、嫁に使われるようで、息子が不憫でそのような発言をしてしまったのだという。
親として、息子を心配する気持ちは理解できる。だが、これは明らかに過干渉である。

