「実力はあるが見栄えのしないおじさん」2人

結果的に東京や神奈川などでは擁立候補者全勝を果たしてしまい、ブロック比例名簿が足りずに獲得議席を他党に譲る結果となったのは特徴的な出来事と言えます。いや、自民党からすると、そんな勝てると最初はまーーったく思ってなかったというのは前述の通りです。

まあ要するに、突然高市さんが解散するぞといって爆裂させたあとで、なんか思ったほど勝てなくねと思っていたら、あれよあれよという間に316議席まで、当初予測から100議席以上積み上げてしまったというのが現状であります。これはもう圧倒的サナエ旋風が野党を制圧した、ある意味でマドンナ旋風(1989年・参議院選挙)や郵政解散(2005年)にも似た大博打に勝ったとも言えます。

他方で、やられた野党側はあからさまに自滅を繰り返すものでありました。確かにそのまま選挙になったら勢力維持は難しいという危機感はあったものの、打った手が「野田佳彦さんという実力はあるが見栄えのしないおじさんと、斉藤鉄夫さんという実力はあるが見栄えのしないおじさんとが合体して、中道改革連合という最高に見栄えのしない政党ができあがってしまった結果、支持基盤の主力であった労働組合(連合)の皆さんがぐっすりお休みになり、イメージ選挙に打って出る高市早苗さんに有効な対抗策を最後まで打ち出すことができず、投開票日の最後の3日間で一気に差を広げられて大敗した」という形になります。

中道改革連合の共同代表である野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏
中道改革連合の共同代表を務めた野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏〔写真=内閣官房内閣広報室(左) and Noukei314(右)/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

れいわ・大石あきこ氏の“アシスト”

特に、中道への立憲支持層の冷め方は尋常ではなく、ただでさえ浸透が進まない中道や旧立憲支持者の6割しか投票しないのでは中道候補が小選挙区で勝てる見込みはほとんどありません。そのトリガーが、党首討論ドタキャンをめぐる国民感情であったことは特筆に値するものです。

その「がんばってる高市さん」が持病を理由に討論会を休むことに猛烈な批判をしたれいわ新選組の大石あきこさんは、すばらしいアシストを披露されました。

それに加えて、経済政策が弱点の高市早苗政権を攻撃するのに中道が持ち出してきたのがなぜか年金積立金・外為特会など「博打を打つのに使っちゃいけないカネに手を付ける」ジャパンファンド構想だったため、政治に関心のない層には何を言っているのかわからず、政治関心層やマーケットをわかっている人からは「クソみたいな代案を出してくるんじゃねえよ」という話になりまして、選挙中盤から中道は街頭演説でも誰ひとりジャパンファンドには触れなくなったのが印象的でした。