「キャリアを太らせる」無定年戦略
英会話に続いて、今までのキャリアに何を足せば、無定年につながるネクストキャリアを生み出せるか。長年続けてきた仕事に「キャリア・トッピング」した方を紹介します。拙著『未定年図鑑』にも登場した信藤勇一さん。大手組織設計事務所で一級建築士として活躍してきた方です。
定年が視野に入った50代のうちに、60歳の定年退職と建築士として独立・開業を決めました。「定年後は個人事業主として長く働きたいから」と早くに意志を固めて、50代でしっかり準備を行ったのです。
ここまでは、よく聞く定年→独立(同じ仕事を継続)の話。手に職があれば独立もしやすいよなあ、うらやましいなあ、でスルーしそうですが、いえいえ、大いに参考になるのです。信藤さんは、他の建築士と差別化を図るため、別の資格をトッピングしました。それは「ヘリテージマネージャー」です。ヘリテージマネージャーとは、文化財建造物を後世に残して活かすことを行う人で、「歴史的文化遺産活用推進員」と表記されることもあります。
信藤さんは、さらに文化財保護に紐づく博士号も取得しました。一級建築士に博士号とヘリテージマネージャーの「キャリア・トッピング」により、建築士としての守備範囲が広がり、肩書きがさらに立派になりました。信藤さんは建築士の仕事と並行して大学で教鞭を執り、多忙な日々を送っています。無定年ロードまっしぐらという感じでしょうか。
市場を見渡し「自分マーケティング」を
信藤さんから学びたいことは、就労者市場を見渡した分析力です。一級建築士という資格に甘んじることなく、建築業界の就労者市場を見渡し、ライバルの多さを冷静に見極めました。その結果、ヘリテージマネージャーの取得を50代でやり遂げた、そのネクストキャリア行動力が、お手本にしたい点です。
就労者市場を見渡し、空席を探す。あるいは信藤さんのように「空席を作る」、建築士として他者との差別化を図る、つまり自分を商品とみなしてマーケティングすることが重要です。まずは「自分マーケティング」、次にどんな資格をトッピングするかを考える、というのが順序になります。
出演中のPodcast『未定年図鑑』の公開収録でよく質問されるのは「どんな資格がおすすめですか」。誰もが、定年後やネクストキャリアを考える時、まず「どんな資格」が良いか考えがちです。しかし資格が職につながるとは限りません。まずは「自分マーケティング」で、自分が活かせる就労者市場を探ることが大切です。

