義理やしがらみは断る
私自身は「楽しいこと、意義を感じることはやる。義理やしがらみは断る」という基準をつくった。後半戦を快適に生きるための、自分なりのルールである。
もしリタイア直前の父に会えるなら、「手術だけが外科医の仕事ではない。他人を助ける道はほかにもある」と伝えたい。前半戦とは違う働き方がきっとできたはずだ。
父は最終的に、子どもの力を借りる形になった。それは父にとって不本意だっただろう。
だからこそ私は、自分の子どもたちに負担をかけたくない。その思いが、いまも会社に通い続ける理由の一つになっている。いつまでも自分のことは自分でできるようにするための“訓練”を続けている。
現在の私は、毎日の生活がとても楽しい。理想をいえば、仕事机のキーボードに突っ伏して最期を迎えたいくらいだ。そのためにも健康管理は怠らない。若い頃はよく無理をしては風邪をひいたが、いまは衰えを自覚しつつ、できる範囲で最大値を狙う方法を覚えた。
もちろん、私もいつどうなるかはわからない。しかし「介護される側」にならないための努力はできる。
その一つが、働き続けること。働くことは現在の家庭内を安全に保つだけではない。未来においても家族の時間を奪わないための最良の備えである。



