回遊を捨て、“見せて”呼び込む
通常のコンビニや「まいばすけっと」は誘導・回遊を発生させるレイアウトとなっており、入り口すぐの場所は高さ150~180cmほどのゴンドラ棚に塞がれるため、店内を見渡せない。弁当やパンなどにあえて最短距離で行かせず、途中で見かけた商品を1品、2品と多く買ってもらおう、という仕掛けだ。
一方で「トライアルGO」は、弁当の平置き棚の背が低く、敷地が縦長の中野中央5丁目店でも最奥部近くまで見渡せる。弁当を手に取って向こうに見えるのは、数cmの分厚い卵が目を引く「たっぷり玉子サンド」(税込み199円)や「クリームの重みで生地が悲鳴!」とパッケージに大書されたロールケーキ、パンのコーナーには税込み98円の「トライアルブレッド」(食パン)など……見通せる範囲に人気商品を置いたうえで、店の奥に引き込む構造だ。
レイアウトを対比するなら、以下のような感じだろうか。(もちろん各店で例外あり)
コンビニ=売れ筋の弁当・パンまで、あえて最短距離を歩かせず回遊させる
まいばすけっと=売れ筋の弁当・パンはやや奥。生鮮食品のショーケースを見ながら奥まで歩かせる
トライアルGO=売れ筋の弁当は前。見通しが良い動線に人気商品を置き、奥まで進入させる
実際の「トライアルGO」は安いだけでなく、「人気商品はとにかく買いやすく」「店内を歩きやすく」といった、小売業としての基本的な創意工夫がある。店舗として魅力があり、「ありったけデジタル化した、アナログな小売業」であるからこそ、「トライアルGO」は激戦区の中でも集客ができているように見えた。
効率重視の副作用
ただ、時間帯を変えて深夜に訪れた限り、「トライアルGO」の弱点「欠品多発店舗のリカバリー力の弱さ」も見えた。
まず、昼間に集客力のキーとなっていた平置き棚には、夜9時以降は1個も弁当が展示されていない場合もあった。効率を重んじる「トライアルGO」の弁当は早期に割引をかけて弁当を売り切ることもあってか完売が早く、弁当の製造元である西友も深夜には配送できない(閉店している)ため、夜にはこういった欠品が生じやすい印象だ。
また、お菓子棚の商品が床に落ちてもそのままになっている(筆者がひっそり直し、ついでに横の商品もフェイスアップして帰ってきた)など、清掃などに時間を割けない省人化店舗ならではのデメリットも垣間見えた。「トライアルGO」各店とも夜9時を過ぎると、お目当ての商品がないため買い物をせず、近隣の「まいばすけっと」やコンビニに行く人々も多い印象だ。
「トライアルGO」は合理化による「1日30人時」(1日で合計30時間分の労働力。だいたい1人~2人でスタッフを賄える計算)による店舗運営を目指しているという。ただデータ重視・合理化の副産物として、中野中央5丁目店のような想定外に売れすぎる店舗では、欠品による“売り逃がし”問題も生じがち。在庫を置きすぎてロスが発生するよりは良いのかもしれないが、売り切れが多発し過ぎるのも考えものだ。

