自民党が続ける「曖昧戦略」
これまでの自民党政権は、在留外国人の増加(流入超過)という国民が心配する「状況」そのものの直視を避けていた。そして、政府が決めることができる移民という言葉の「定義」を否定し、労働目的だけ強調して、外国人を住民として受け入れる政策を正当化してきた。これは一種の“曖昧戦略”とも揶揄されていたが、1月26日のテレビ朝日「報道ステーション」の討論会では高市首相も「自民党は移民政策を推進は、しておりません」と発言、管理の厳格化と“秩序ある共生政策”の推進を強調していた。
結局は、高市首相もこの手法で受け入れ路線は踏襲し、どんどん増やす政策なのかもしれない。管理の厳格化や、外国人政策の取りまとめで提言に盛り込まれた「国内制度理解への学習プログラム」の創設も、在留外国人のさらなる増加を念頭にした「地ならし」にすぎないのか。
肝心の管理の厳格化についても、決まったのは従来の報道通り、帰化要件を永住権並みに引き上げたのと福祉制度や土地規制への対応を盛り込んだ程度だ。見方を変えれば、想定とは異なるライフハック的な活用が可能な緩すぎた規制を、少し正しただけにも見える。直近の調査では、「技能実習」を上回り、余剰感すらあるホワイトカラー人材向けの用途で、家族帯同や規定の年数が経てば永住権や帰化申請も可能な在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に対する規制も限定的だ。
「秩序ある共生」という言葉のワナ
高市首相は総裁選を戦った際の「ゼロベース」発言以降の政権成立後は、一貫して「外国人との秩序ある共生推進」を掲げていた。“秩序”という文言に期待し、「在留外国人の人口を減らしたり、増加を抑えてくれる」と勘違いしているのは自民党に圧勝をもたらした支持者のほうなのかもしれない。とはいえ、事実上の「受け入れ拡大」の継続なら、まずは選挙前に国民に対してそれを明確に説明しておくのが筋だったはずだ。
現在、日本人人口は24年に90万人減少し、出生数は66万人に減る中、国内に居住する在留外国人の増加は年36万人ペースで増えている。総人口における外国人比率は現在3.2%だが、働く世代である生産年齢人口においてはすでに4.6%に上昇している。現在、静かに、そして物理的に「日本人の国」から「移民の国」へという“民族置換”的な変化が進行中だ。欧米のように不法越境が難しい日本においては、外国人の増加は、ビザ行政を司る政府自民党の完全コントロール下にある。外国人比率の高まりは、不可抗力ではなく、歴代自公政権による「政策の結果」なのだ。

