前回(http://president.jp/articles/-/10885)、私は「日本電産は日本発祥のグローバル企業である」と定義した。グローバルに展開し利益を得るが、その富を最後に持って帰る先は日本なのだ。日本の国や社会がよくなるのでなければ、会社だけが栄えても意味はない。

そのことを理解してくれるかどうかが大切である。お金だけで選ぶなら、どうぞ外国企業へ行ってくださいというほかないのである。

「つくられたエリート」も採用しない。たとえば金融機関ならニューヨークやロンドン勤務がエリートコースだが、そのルートに乗ったというだけで実力がともなわない人間は最悪だ。入社させても会社の足を引っ張るだけだろう。

反対に、同じ海外組でもインドや中近東、南米などに赴任した傍流の人のほうがハングリーであり評価が高い。

煎じつめれば、欲しいのは「経験と意欲のある人」に尽きる。即戦力であれば年齢は問わない。年齢をいうなら私もすでに66歳、会社員なら定年である。60代で中途採用された金型技術者がいてもいいと思う。

大組織には派閥争いや年齢、学歴差別によって、本人の意思・能力とは関係なく窓際に置かれているような人が少なくない。

「もっと働いて夢を実現したい」「もう1度花を咲かせたい」という思いがあるなら、こういう人も採用したい。

中国などが先導して、EVの普及は進む

いま、全世界が注目しているのは電気自動車(EV)がどこまで、どれだけのスピードで普及するのかということだ。駆動系・制御系を含めEVはモーターの固まりである。その動向は日本電産の将来にも大きく関わりを持っている。

10年後の普及率はどうなるか。極端な人は「半分」と予測するが、自動車メーカーはおしなべて控えめな予想を出している。私は全体では25%程度、小型車に限ると半分くらいはEVになると考える。排気量1000ccクラスなら、ほとんどがEV化してもおかしくはない。