競合他社のやり方に惑わされるな!

DeNA創業者 南場智子氏

私たちが展開するインターネットや携帯電話のコンテンツ事業の世界は、突風が吹き荒れるような速度で状況が変化していきます。

近年のスマートフォンの普及は言うに及ばず、技術面、料金や規制など制度面も変わり続け、その度に劇的な対応を迫られてきました。例えばこの3年半におけるインターネット業界のマーケットシェアのグラフを見れば一目瞭然。トップが激しく入れ替わっており、他の業界の100年間のグラフと見紛うほどです。

激しい速度の中で必要な人材の基本的な要諦は2つあります。戦略を立案する力、そしてそれを実行する力。この双方がそろわなければ、突風の中で勝ち残ることはできません。シェアがめまぐるしく変化している業界では、次々に新しいイノベーションを起こすことが必要ですし、さらには1つの意思決定のミスが致命的な結果を生むこともあるからです。

では、そのような変化に対応しながら、結果を残すためにはどのような資質が必要なのでしょうか。

私は「質のいい非常識さ」を持った人がそれに当たると考えています。

どのような仕事にも歴史があり、培われてきた常識があります。「この業者さんとは、これまでこうやり取りをしてきた」「競合他社はみなこうしている」というように、気づけば多くの人たちは各々の常識に沿って仕事を進めているところがあるでしょう。

ところが変化の激しい環境では、昨日の常識が瞬く間に通用しなくなることがあります。そんなときに従来の常識にとらわれていると、日に日に可能性が失われていきます。いわば変化そのものが私たちのいる業界では力であり、変わらなければ成功が浸食されていくばかりなのです。わが社が海外進出などで領域を広げているのも、ソーシャルゲーム事業で大きな成功を享受している今だからこそ、現状に留まらずに変化しなければならないと考えるからです。