時代を先取りする着想力

AIがもたらした追い風は、いつまで続くのか。時代の先を読んできた同社の力を踏まえれば、当面は手堅い事業展開が続くのかもしれない。

キオクシアは自社サイトで、舛岡氏がかつて、「走りながら何十曲も聴ける小さな装置」を夢見てフラッシュメモリの開発に勤しんだと、歴史を振り返る。まだインターネットも普及する前、80年代中頃に、iPodや現在のスマホの姿を思い描いていた。

もっとも、キオクシアの将来はこれで安泰というわけではない。

フィナンシャル・タイムズは、キオクシアはAIブームの間接的な恩恵を受けているにすぎないとも指摘する。世界的なメモリ不足が解消されたり、データセンター向けの大型投資が一段落したりすれば、出荷価格は下落に転じうる。

長期的には、製造装置や精密部品など代わりが利きにくい分野を手がける企業のほうが、より堅牢な収益基盤を築きやすい――と同紙は分析している。

手放しで喜べないAIブーム

なお、需要拡大の明るい話題の一方で気に留めておきたいのが、SSD価格の高騰だ。

パソコンに接続して手軽に保存容量を拡大できるSSDは、技術の発展とともに年々値下がりしてきた。ところがここへ来て、AIブームのあおりを受け、急激な値上がりに転じている。

米PCガイド誌が米Amazonの価格履歴を追跡したところ、売れ筋1位のCrucial P310 1TB SSDは、2025年6月下旬から7月初旬には最安値の59.99ドル(約9250円)だったが、今年1月現在では106.99ドル(約1万6000円)まで上昇していることが分かった。わずか半年ほどで2倍近くに跳ね上がった計算だ。

アーズ・テクニカは、より大容量の2TBや4TBのSSDは、1TBモデルよりも値上がりがさらに激しいと指摘。容量を問わず、価格が近々下がる気配はないと分析している。セールで安く入手できる機会があれば、今のうちに確保しておくことも一考に値する。

キオクシアに次ぐAIブームの寵児が誕生することを期待しつつ、私たちとしてもブームの動向を見据えた賢い動きを取っていきたい。

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