バブル崩壊後に見られた失敗
私が住む地域の人や建物が様変わりした背景には、こんな事情もありました。土地の価値が年々上がるのが当然だった頃は、銀行がその土地を担保にお金を借りることを勧めてくることがあり、誘いに乗った人が結構いました。
借りたお金を株や別の土地の購入に使って資産を増やすというのが、一部の人たちの間で当たり前のようにやられていたのです。バブル経済の崩壊後、状況が大きく変わって、こういう人たちがたいへんな思いをさせられたのは周知のとおりです。
このことから得られる教訓は、世の中は常に変化するもので、「正しい」とか「価値がある」というのもそのときどきで変わるということです。たとえば、土地はあるときまで「上がるもの」というのが常識でしたが、バブル経済の崩壊以降は「下がることがある」というふうに人々の認識が大きく変わりました。
価値の変化では、かつて私もこんな失敗をしたことがありました。多くの人が経験したバブル崩壊後の失敗の典型例のようなものです。
せっかく老後のために買ったのに
あるゴルフ場の会員権を1200万円で購入したものの、それから15年後に処分したときには6分の1の200万円ほどになっていました。年に2回ほど利用していたので、15年間で30回ほど行きましたが、差額の1000万円をプレー代と考えると、1回に約30万円払っていた計算になります。
もともとゴルフには興味がなかったものの、仲間うちの話で「年を取ってから一緒に楽しめるのはゴルフと囲碁と麻雀と酒盛り」となり、始めることにしました。酒盛りは別にして、囲碁と麻雀は後から覚えるのがたいへんなので、しぶしぶゴルフを選択しました。
「早く始めないと覚えられない」とか「できなければリタイアしたときに遊んでやらない」と脅された上、「みんなで遊べるし、ホームコースを持ったほうが早く覚えられる」と提案されて、お金をかき集めて会員権を購入しました。
財テクのつもりはなかったものの、それが一つの財産のように見えていたので決断することができましたが、その価値が15年後に6分の1まで下がるとは思いもよりませんでした。
幸か不幸か、定年後は以前より忙しくなり、のんびりとゴルフを楽しむ余裕はなかったので、手痛い失敗のことでくよくよ悩まずに済んでいます。先のことがすべてわかる予知能力があれば、こういう失敗を回避することができますが、現実にはほとんど不可能です。
できるとすると、感度を鋭くして、変化をいち早く感じ取るくらいです。それなら実際に起こる前に手を打ったり心の準備くらいはできるでしょう。ただし、あまり感度を鋭くしすぎると、心配事が増えて平穏で暮らすことができなくなりそうなので、さじ加減を自分なりに調整するしかなさそうです。

